遺体が横たわるエベレスト、それでも登頂を目指す理由とは
「8800メートルの山頂から日の出を見る」
第4キャンプから山頂までの約900メートルの行程には14~18時間かかる。そのため登山者は通常、夜にキャンプを出発する。
ウィーゼルさんは頂上からの景色を人生で見た中で最も美しいものの一つだったと語る。
「そこに立っていると地球上のすべてのものが自分の立っている場所より下にあることを知って不思議な気分になる」
ウィーゼルさんは山の大きさに謙虚になると言う。「これほど(自分を)小さく感じたことはない。謙虚さと自分よりも大きなものとのつながりが入り交じるこの場所では、地球上での自分たちの存在に近づくことができる」
登山者は通常、約20分から1時間後に山のふもとまで下り始める。
ジェイコブ・ウィーゼルさん/Jacob Weasel
「得られる喜びはたくさんある」
アーネットさんは3度挑戦した後、エベレスト登頂に成功した。
アーネットさんは「最初の3回の挑戦は理由がはっきりしなかった」が、アーネットさんの母親がアルツハイマー病と診断されたとき、登頂の目的を変えた。「登頂してアルツハイマーのための寄付金を集め、母を称(たた)えたかった」
アーネットさんによると、ネパール政府から今年、入山許可を得たのは約300人。その数は例年より減っているという。
アーネットさんはその理由の一つを、昨年18人の死者が出たことでエベレストが危険な山だと認識されたからだとみている。
一方でアーネットさんはそれが登頂を試みる登山者をためらわせるものではないと考えている。「このような山に登ることで、より良い自分になって帰って来ることができると信じている」
アーネットさんは、エベレストは「死体の上を歩く」「ゴミが散乱している」などと過剰に宣伝されているが、現実にはそれらは小さなことであり、人々がエベレストを登ることで得られる喜びはたくさんあると語った。