わずか50人のパイロットのみが許される、着陸困難な空港とは

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パロ国際空港への着陸アプローチを空から見た様子/fotofritz16/iStockphoto/Getty Images

パロ国際空港への着陸アプローチを空から見た様子/fotofritz16/iStockphoto/Getty Images

次に考慮すべき変数は天候だ。

ドルジ氏は正午以降の着陸を避けるようにしていると話す。その時間帯にはサーマル(熱気泡)が多くなり、気温が上昇するものの雨はまだ降っていない。そのため土地が乾いており、午後には谷間で気流の変化による風が吹く。ただしこれは離陸時にはさほど問題にならないという。

レーダーがないため、季節に関係なくパロでは夜間のフライトは行われていない。

さらに通常6~8月にかけての季節風の期間には異なる対応が必要になる。

この時期には、ゴルフボールほどの大きさの雹(ひょう)を伴う雷雨に見舞われることも珍しくない。

つまりパイロット訓練には、飛行方法を知ることだけではなく、飛行しないタイミングを知ること、そして離陸するのが安全ではないと判断できるようになることも含まれるという。

パロの難易度を高める最後の要因は空港を取り囲む山岳地帯だ。

パロの滑走路はわずか約2265メートルで、二つの高い山に囲まれている。その結果、パイロットは着陸寸前まで上空から滑走路を視認できない。

ブータンの航空業界

ブータンではさまざまなことが変化しており、航空業界もその一つだ。

インド国境に近いブータン南部のゲレフでは、小さな空港が大幅に拡張される計画がある。ゲレフとパロの最も顕著な違いは地形だ。ゲレフははるかに平坦(へいたん)で、特別な訓練を受けていないパイロットでも離着陸しやすく、ジャンボジェット機も走行可能な長い滑走路を建設できる。

北米や欧州、中東からブータンへの直行便が数年以内に就航する可能性がある。

ブータンのパイロット免許保有者は50人にとどまるとみられるが、同国は海外からの採用にとどまらず、国内で若いパイロットの採用を増やし、育てることに関心を示している。

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