11年目の真実――同時テロ犠牲者の最期のメモ、家族の元へ
ワシントン(CNN) 2001年9月11日の米同時多発テロで犠牲になったランディ・スコットさんが亡くなる直前に記していたメモが、長い年月を経て家族の元へ届けられた。その筆跡からは、生きようとして最期まで闘ったランディさんの姿が浮かび上がる。
ランディさんは世界貿易センタービル南棟84階のユーロ・ブローカーズ社に勤務していた。2機目のハイジャック機が激突した場所に近く、ランディさんはその時点で即死したとみられていた。遺体は一部だけが収容された。苦しまずに亡くなったのがせめてもの救いと、家族らは慰め合った。
しかし時を経て、1枚のメモが真実をもたらした。「84階 西オフィス 12人が閉じ込め状態」とだけ書かれたメモ。ランディさんは生きていたのだ。空中へ投げたメモは地上に届いた。通行人がすぐに拾って、近くの連邦準備銀行の警備員に手渡した。だがその後間もなく、南棟は崩壊した。
スコット一家と同じ街に住むランディさんの親友、スティーブ・アーンストさんはCNNとのインタビューで、ランディさんはメモを投げるために「恐らく机で窓を割ったのだろう」と語った。その時メモの端に残ったのが、血のついた親指の指紋だった。
メモは連邦準備銀行に保管され、やがて国立9・11記念博物館に引き渡された。博物館はニューヨークの検視当局と協力してDNA鑑定を実施し、ランディさんのメモだったことを突き止めた。