米国の食中毒44%増加、年間4800万人に健康被害
ワシントン(CNN) 食肉から果物までさまざまな食品の自主回収が相次ぐ米国で、食中毒により健康被害を起こしたり死亡したりする人が、過去2年で44%増加した。米消費者団体の公益研究グループ(PIRG)が24日にまとめた報告書で明らかにした。
PIRGによると、米国では毎年約4800万人に、食中毒を原因とする健康被害が出ている。2010年の食中毒発生状況を国の健康目標基準と照らし合わせてみると、基準以下に収まったのは腸管出血性大腸菌O157を原因とする食中毒のみ。サルモネラ菌による食中毒は基準値の3倍に上った。
報告書はさらに、海外から米国に輸入される食品に対する検査需要の増大に、米食品医薬品局(FDA)が追い付いていない現状も指摘した。米国で消費される食品のうち、輸入品は約15%を占める。しかし輸入食品を扱う登録施設約18万9000カ所のうち、FDAが検査したのは2008年の統計で153カ所にすぎないという。
こうした現状を受けてPIRGは、FDAの予算増額や検査態勢の強化、疾病対策センター(CDC)といった機関との連携強化などを盛り込んだ対策を提言している。
米国ではメロンやマンゴー、食肉などの自主回収が相次ぎ、最近ではピーナツバターによる食中毒で、19州の子どもを中心とする25人に健康被害が確認された。
2年前には食中毒予防に関するFDAの権限を強化する法律が制定されたが、予算不足などが原因で有効に機能しておらず、食品の安全対策強化を求める声が強まっている。