最低賃金VS勤労所得税額控除 最適な不平等是正策は
つまり、最低賃金の引き上げは、貧困対策として非効率的な部分が多いのだ。
この点、EITCの場合、お金の大半が貧困層の労働者のものとなるように制度設計されている。貧困を撲滅しつつ労働意欲を増進させるという意味で、最も効率的な政策だ。現実に、これがなければ2011年、貧困層の子どもが310万人増加していたとみられる。
問題があるとすれば、コストを雇用者に転嫁するのではなく、連邦政府が直接に費用負担しなければならないため、政治家にとって魅力が少ない点だろう。
だが、EITCそのものの有効性については疑いの余地がない。オバマ大統領は3月、2015年会計年度予算教書の提出に際して、EITCの適用者を大幅に拡大することを提案、共和党議員も一部協議に前向きだ。
労働を促しつつ格差解消を図るという意味では、EITCは根本的に保守派の発想だともいえる。かつて経済学者ミルトン・フリードマン氏が支持していた。米国は党派対立を乗り越え、この超党派的政策に「イエス」と言うことができるだろうか。