二つの司法制度――格差広がる米国
米紙ウォールストリート・ジャーナルの調査により、警官による殺人の件数が、連邦統計において大幅に過少報告されている実態が明らかになったのである。
同紙は米国内105カ所の大規模警察署から得られたデータを分析。その結果、2007~12年に550件以上の警官による殺人が連邦レベルの記録から漏れていたことが判明した。同紙の総計によれば、警官による殺人は連邦捜査局(FBI)公式の統計よりも約45%多かったという。
米国の警察の大部分は警官による殺人について一切報告していないこともあり、過少報告の全貌をつかむのは難しい。だが、透明性が確保されている部分に限ってみても、警官によって命を奪われている層として少数派(マイノリティー)が偏って突出しているのは明らかだ。
調査報道機関プロバブリカによると、10~12年、若い黒人男性が警官に射殺された件数は白人男性の21倍に上ったという。また、麻薬関連の捜査についても、黒人の逮捕件数は白人の約3倍に上ることが、司法省によるものも含め各種調査により明らかになっている。麻薬使用率においては、人種間でこれほどの差はない。