二つの司法制度――格差広がる米国
こうした事態を受け、司法制度改革について提言する非営利組織センテンシング・プロジェクトは、次のような厳しい結論を導き出している。「人種的マイノリティーは白人の米国人より逮捕されやすく、ひとたび逮捕されると有罪判決を受ける確率が高い。そして有罪判決が下ると、より厳しい刑を言い渡されることが多い」
アフリカ系(黒人)米国人の男性は白人男性の6倍も収監されやすい。現在の傾向が続けば、生涯のうちに刑務所に収監される米国の黒人男性の割合は3人に1人に達する見通しだという。一方、刑務所に入る白人男性の割合は17人に1人だ。
同プロジェクトはむやみに人種差別の批判を加えているわけではない。本当の問題はむしろ、米国に司法制度が実質的に二分されていることだ。富裕層ための司法制度と貧困層のための司法制度の二つに分断されているのである。人種、階級、経済状況などさまざまな理由により、マイノリティーは「セカンドクラス」の司法制度に頼るほかないのが現状だ。
これは強い表現だが、あくまで事実は事実だ。ファーガソンとニューヨーク市の事件を受け、果たして司法制度が全ての米国人に平等に機能にしているのか、問い直さざるを得なくなるだろう。