米民主クリントン氏、代議員過半数獲得も前途は多難か
その一方で弱点もある。トランプ氏と同じく、世論調査では大統領候補としての支持率が史上最低クラスにとどまっている。また国務長官時代の私用電子メールをめぐる問題は、同氏の透明さや誠実さに改めて疑問を投げ掛けた。さらに当時のリビアやロシアへの対応は、トランプ陣営に厳しく追及されそうだ。
そして民主党内では主流派と進歩派の深い溝を埋め、結束を固めなければならない。進歩派はこれまでにサンダース氏を十数州で勝利に導き、党がクリントン氏に有利なレースを仕組んでいるとの批判を展開してきた。クリントン氏の指名獲得が確定することで、こうした不満はさらに強まるかもしれない。
サンダース氏は5日、CNNとのインタビューで、クリントン氏が指名レースの開始前から特別代議員400人の支持を取り付けていたのは不公平だと改めて批判した。
クリントン氏が11月の本選で勝つには、民主党内の結束が不可欠だ。同氏の支持率は当初、トランプ氏を大幅に上回っていた。しかしトランプ氏が共和党内の支持固めを進めるにつれ、最近の世論調査では接戦の様相が強まっている。
クリントン氏は08年大統領選で最有力候補と目されながら初戦のアイオワ州でつまずき、接戦の末に苦杯をなめた。当時のオバマ氏と同じように、今回はサンダース氏という意外な人物が、左派寄りから草の根の挑戦を突きつけてきた。アイオワ州での辛勝、ニューハンプシャー州での屈辱的な敗北で始まった今回のレースは次第に激しさを増したが、南部諸州やニューヨーク、ペンシルベニア州など大票田で勝利を重ね、特別代議員数での優位にも助けられて、ついに指名獲得を果たしたとみられる。