米ボルティモアの黒人男性死亡、警官の起訴取り下げ
ボルティモア(CNN) 米東部メリーランド州ボルティモアで昨年4月、警察に逮捕された黒人男性が死亡した事件で、検察当局は27日、3人の警察官の起訴を取り下げた。
死亡したのはフレディー・グレイさん(当時25)で、拘束中に首を負傷し、1週間後に死亡した。グレイさんの死に関係したとして警察官6人が起訴されていたが、うち3人は無罪判決を受けていた。
グレイさんの死は黒人社会の警察に対する不信の象徴となり、ボルティモアでは抗議運動や暴動が発生。警察の行き過ぎた力の行使をめぐる全国的な議論も引き起こした。
マリリン・モスビー州検事は起訴取り下げについて「苦渋の」決断だったと述べる一方、本件に関する警察の捜査のしかたに苦言を呈した。
検事はグレイさんの死は殺人だとの考えに変わりはないとしつつ、警官たちの罪を問うには刑事裁判制度の「真の、本質的な改革」が必要だとも語った。「本件を100回審理しても、同じ結果になるだろう」と検事は述べた。
モスビー検事はまた「事件の目撃者でありながら捜査チームの一員になった警官もいる。尋問においても鋭い質問はなされず、刑事たちはまったく非協力的になり、検察の見方を覆すための捜査を始めた」と批判した。
一方、警察官の組合の代表者は「正義がなされた」と述べた。