米下院共和党、オバマケア撤廃法案を撤回
ワシントン(CNN) 米共和党のライアン下院議長は24日、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃法案を本会議での採決前に撤回すると発表した。前日にはトランプ米大統領が、採決が行われない場合は医療保険改革を見送ると示唆していた。
トランプ氏は法案が撤回された後、ホワイトハウスの大統領執務室で「あと少しだった」「非常に、非常に僅差だった」と言及。ライアン氏は記者団に対し、「票が足りなかった。当面はオバマケアが存続することになる」と述べた。
今回の決定はトランプ氏にとって痛手だ。トランプ氏は23日夜、反対を続ける下院の保守派議員に対し決断のときが来たとする「最後通告」を提示。自身の信用を懸けた大きな賭けに出ていた。自党の議員による造反を受け、ライアン氏の政治的立場も大幅に弱体化する。
ただトランプ氏は、下院で過半数を占める共和党ではなく、全議員が法案に反対していた民主党に責任があると重ねて指摘。「民主党の協力がなかった」「私は過去1年半の間、政治的に言って我々にできる最良のことはオバマケアを崩壊させることだと述べ続けてきた。オバマケアはまさに今、崩壊しつつある」と述べた。
トランプ氏やライアン氏など共和党指導部からの圧力があったにもかかわらず、法案を可決するだけの票を確保できず、一方的な敗北となる見通しであることが明らかになった。
法案について、保守強硬派はオバマケアの施策をそのまま残しすぎだとみる一方、穏健派は数百万人の米国人が医療保険を失えば選挙で代償を支払うことなると懸念を示し、両者の溝を埋めることができなかった。
一方、採決すら行われなかった事態を受け、民主党議員は歓喜した。民主党のシューマー上院院内総務は「私の人生の中で、今日ホワイトハウスにいる政権ほど無能な政権は見たことがない」などと述べた。
共和党の下院議員2人がCNNに明かしたところによれば、ライアン氏は同党議員に対し、医療保険から別の政策に焦点を移している状況だと伝えたという。トランプ氏は税制改革が次の目標になるとの見通しを示した。