トランプ氏、温暖化対策見直しへ大統領令 国内経済優先に
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は28日に環境保護局(EPA)へ出向き、連邦政府による温暖化対策の見直しを命じる大統領令に署名する。オバマ前政権が気候変動の問題に取り組んだ政策を覆して規制を撤廃し、国内経済の発展を優先する内容だ。
大統領令について説明を受けたホワイトハウス当局者が27日に語ったところによると、温暖化対策の規制よりも米国の雇用を重要視するトランプ政権の立場が反映されている。
同当局者は「大統領がこれまではっきり示してきたのは、米経済を脅かすような気候変動対策は取らないとの立場だ」と指摘した。
トランプ氏は28日の大統領令で、発電所から排出される温室効果ガスを規制した「クリーンパワー計画」や連邦所有地での石炭の新規採掘停止など、オバマ前政権が導入した環境政策の多くを撤廃。各省庁に「エネルギー自立の妨げとなる規制や規則、政策」を全て洗い出すよう求める見通しだ。
具体的には、オバマ氏が気候変動対策として署名した大統領令など少なくとも6件が撤回される。この中には、「気候変動が国家安全保障に与える脅威の増大」を指摘した覚書も含まれている。
同当局者は、「前政権の政策は労働者を軽視していた。だが我々は環境保護と雇用確保を同時に実現することができる」と主張。さらに「環境を守るための最善策は経済を強化することだ」との説を展開した。
これに対して気候変動対策を訴える専門家らは「米国の価値観に反し、国民の健康と安全、繁栄を脅かす動きだ」と、強い反発を示している。
トランプ氏はかねて気候変動問題に懐疑的な立場を示し、「地球温暖化の概念は中国が米製造業の競争力を奪うためにでっち上げた」などと発言したこともある。
選挙戦ではオバマ政権の環境政策を全て覆すと表明し、就任後はEPA長官に環境保護規制反対派の急先鋒、プルイット氏を起用。オバマ氏の「脱石炭」政策で失業した炭鉱労働者の職を取り返すとの約束も掲げてきた。