米国務長官、恒例のラマダン行事の開催見送りへ
ワシントン(CNN) 米国のティラーソン国務長官は、イスラム教のラマダン(断食月)に合わせて歴代長官が約20年にわたって主催してきた行事を見送る方針であることが28日までに分かった。事情に詳しい政権高官2人が語った。
今年のラマダンは27日に始まった。イスラム教徒は1カ月の期間中、日中の飲食を断つ。
これに合わせて1999年から毎年、5代にわたる共和、民主両党の国務長官がイスラム諸国の外交官やイスラム教指導者らを招き、期間中の日没後またはラマダン明けの食事会を主催してきた。
しかしティラーソン氏は、食事会開催に向けた国務省の宗教部門からの要請を拒否したという。ロイター通信が最初に報じた。
ホワイトハウスや国務省はこのほかにもユダヤ教やキリスト教の暦に合わせた行事を開催している。特にラマダンの食事会は、イスラム社会への関与政策を象徴する行事と受け止められてきた。例年なら遅くとも数週間前には日程に組み込まれていた。
国務省の報道担当者は「ラマダン明けに合わせたほかの選択肢の可能性を模索しているところだ」と述べた。
ティラーソン氏は現在、国務省予算の大幅削減や2000人規模の解雇を進めている。その一環として宗教関連の部署も廃止になるとの見方が強いが、まだ最終決定には至っていない。食事会見送りの方針がこの動きに関係しているかどうかは不明だ。
同氏は26日、ラマダン開始に合わせた声明で「我々が共通して重んじる調和と共感の価値観」を強調していた。
一方、トランプ大統領はラマダン入りの声明で英中部マンチェスターの自爆テロ事件を取り上げ、「テロとの戦い」を強調した。オバマ前大統領も毎年ラマダンの声明を出していたが、テロに言及したことはなかった。