米議会で横行するセクハラ、要注意人物のリストも出回る
(CNN) 米国の映画界やメディアの著名人によるセクハラ行為が次々と告発されるなか、連邦議会でも党派を問わず、セクハラが横行していることが分かってきた。CNNはこのほど議員やスタッフ、同経験者ら50人以上に取材して、その実態に迫った。
取材に応じた議員やスタッフの大半は、発言の影響を恐れて匿名を希望している。ほぼ全員がセクハラを受けたことがある、または受けた人を知っていると答えた。
ある女性議員はCNNに、複数の同僚議員から長年、何回もセクハラを受けてきたと語ったが、詳細は明かさなかった。男性議員の半数はセクハラ加害者だ、と話してからすぐに「言い過ぎ」だったと撤回し、該当者は数人だと言い直した。
議事堂のエレベーターがセクハラの温床になっているとの声は、複数の女性から上がった。エレベーターの中で男性と自分だけにならないよう、気をつけたほうがいいと忠告された女性も多い。
議会特有の事情もセクハラの横行に拍車をかけている。男性議員の多くが平日は地元に妻子を残してワシントンに滞在し、深夜まで仕事をしたり、酒の席に出たりする。スタッフは若い女性が多く、事務所に寝泊まりする議員もいる。「よく働き、よく遊べ」という古い職場文化が幅をきかせている、と指摘する声もある。
議会内部では、下院議員を中心とした要注意人物たちの名前が知れ渡っていることも分かった。これを露骨に「変態リスト」と呼ぶ人もいた。
別々ながら数人から「女性スタッフを狙っている」と名指しされたカリフォルニア州選出の議員や、同様に「不適切な行為」を指摘されたテキサス州選出の議員もいる。ただし事実が確認されていないため、CNNは両議員の実名報道を控えることにした。
ワシントンの権力構造も問題をさらに複雑にしている。議員の事務所スタッフは政界で名を成そうという野心を持った若者が多く、議員はその直属の上司だ。ある上院スタッフによれば、悪質なセクハラのほとんどは、有力議員と若いスタッフが議事堂の外で接するような場面で起きる。元下院スタッフは「自制心を失った権力の乱用」だと非難した。