米最高裁、ケネディ判事退任へ 後任に保守色濃い判事指名か
ワシントン(CNN) 米連邦最高裁のアンソニー・ケネディ判事(81)は27日、トランプ大統領宛ての書簡で、来月31日付で退任する意向を表明した。
ケネディ氏は保守派だが、他のリベラル派4人と保守派4人の判事の間で判決を左右する「スイングボート」の役割を果たすことが多く、同性婚や人工妊娠中絶、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)といった問題で鍵となる判断を示してきた。
ケネディ氏による退任の決定は、今後数世代にわたり最高裁のあり方を変化させる可能性がある。
トランプ氏は最高裁判事を指名する2回目の機会を得ることになり、保守系の若い判事を選ぶと予想されている。これにより保守色の濃い判事5人のブロックが形成され、最高裁の右寄りが進み、当面のあいだ保守派が過半数を握る状況が固まるとみられる。
連邦議会では次期判事の指名をめぐる駆け引きが過熱しそうだ。議会共和党は昨年、上院の規則を変更し、トランプ氏が就任後初めて指名したニール・ゴーサッチ判事の承認を強行していた。
トランプ氏はケネディ氏を高く評価しているとした上で、直ちに後任探しを始める考えを表明。ケネディ氏について「最高裁の偉大な判事だった」「素晴らしいビジョンを示してきた」と述べた。
共和党のマコネル上院院内総務は同日、上院として早急に動く方針を示し、今秋にも後任判事の指名承認投票を行う考えを明らかにした。
一方、民主党側からは、中間選挙後まで指名承認を遅らせるよう求める声が上がっている。ディック・ダービン上院議員は、オバマ前大統領が最高裁判事の指名をした際、マコネル氏が国民の声を聞くために選挙まで待つべきだと発言したことに言及。「国民にとって大きなものが懸かっている」とし、来年1月に議会の新たな顔ぶれがそろったところで大統領の指名を検討すべきだと主張した。