75年前に沈んだ米駆逐艦の艦尾を発見、乗員70人の永眠の地に
(CNN) 米海洋大気局(NOAA)海洋探査調査局は15日、第2次世界大戦中にアラスカ沖に沈んだ米駆逐艦「アブナー・リード」の艦体の一部を発見したと発表した。
75年前の1943年8月18日、300人以上の乗員を乗せたアブナー・リードは、アラスカ沖のベーリング海で日本の潜水艦を追跡していた。
午前1時50分ごろに大きな爆発が起きて艦尾が分断され、乗員90人以上が海上に投げ出された。このうち約20人は救助され、1人の遺体が収容されたが、70人は行方不明のままだった。
艦尾が沈んだ正確な地点はこれまで不明だったが、今年7月になってNOAAの探査チームが捜索を開始。音波探知機で沈没地点と思われる現場をとらえ、無人艇を潜水させて艦尾を発見した。
艦尾は全長約23メートル、高さ5.5メートル。海洋生物に覆われているものの、銃砲や舵(かじ)なども見つかり、アブナー・リードに間違いないことが分かったという。
ただ、艦尾や乗員の遺体の引き揚げは行わない予定だという。「海軍には昔から、こうした場所を海に消えた者たちにふさわしい永眠の地とする伝統がある」と海軍は説明する。
アブナー・リードの整備士だったダリル・ウェザーズさん(94)は、艦尾が発見されたと聞いて驚いたと語った。当時、海上に投げ出された同僚を助けようとしたが、流出した油で滑って引き上げることができなかったと振り返った。
沈没を免れたアブナー・リードの本体は、別の駆逐艦に曳航(えいこう)されて帰港。ワシントン州で修理が行われ、2カ月後には太平洋で戦列に復帰したが、1944年11月、日本の爆撃機に攻撃されて沈没した。