トランプ氏、NATO離脱に再三言及 米紙
ワシントン(CNN) トランプ米大統領が昨年、内輪の会話で北大西洋条約機構(NATO)からの離脱に複数回言及していたことが19日までにわかった。米紙ニューヨーク・タイムズが伝えた。
同紙によると、トランプ氏が最初に離脱に触れた際、複数の政権高官は大統領の真意を測りかねた。だが、その後、大統領はNATO加盟の正当性を疑問視し、加盟国の国防費不足を公に批判する言動を示し、離脱の希望を再三漏らしたという。
また、トランプ氏は意見対立が目立ったNATO首脳会議が開かれた昨年7月ごろには、NATOは米国の損失の源(みなもと)と考えていたという。
NATO加盟国の政府高官はCNNの取材に、同盟国当局者は昨年、NATOにとどまるようトランプ氏の説得作業を「懸命に努めた」と説明。接触したあらゆる局面でこの問題を取り上げたともした。
NATOの弱体化はロシアのプーチン大統領の長年の目標でもあり、米国脱退は望むべく材料ともなる。
タイムズ紙は、トランプ氏によるNATO離脱への再三の言及は国家安全保障担当者の間に新たな懸念を引き起こしていると指摘。米紙ワシントン・ポストは最近、トランプ氏がプーチン大統領との会談の詳細を隠したと報道し、ニューヨーク・タイムズもトランプ氏によるロシアの利益に合致するような行動に対し米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始したとも伝えていた。
米世論調査企業「ギャラップ」の2017年調査によると、NATOの同盟関係を維持すべきとした米国民は80%。米キニピアック大学が昨年7月に発表した世論調査結果によると、米国民の78%は必要なら全てのNATO同盟国を防衛すべきとしていた。