B737MAX8の運航停止、専門家の間で賛否 米
(CNN) 過去半年足らずの間にインドネシアとエチオピアで立て続けに墜落事故を起こした米ボーイングの最新鋭機「737MAX8」をめぐり、航空関係者の間で運航停止とする措置が妥当かどうかの議論が噴出している。2件の墜落事故の関連が現時点で示されていないなか、専門家の間でも意見は割れているようだ。
エチオピア航空の運航する737MAX8は10日、同国の首都アディスアベバの空港から飛び立った直後に墜落し、搭乗していた157人全員が死亡した。昨年10月にはインドネシア沖で、ライオン・エアーによる同型機の墜落事故が起きていた。
米連邦航空局(FAA)の元安全検査官で、現在はCNNのアナリストを務めるデービッド・スーシー氏は「これまで運航の安全性が低いとして特定の型に言及したことはなかったが、今回はそうせざるを得ない」と説明。737MAX8を検証した結果として、今日同型機に乗るかと言われれば乗らないだろうと述べた。
理由は現時点での情報不足だ。昨年のライオン・エアー機墜落の後、ボーイングは航空各社向けの速報を出し、全ての操縦士に改めて訓練を施すよう奨励していた。訓練は墜落につながったとみられる対応ミスの再発を防ぐことを目的としたものだが強制ではなく、どの航空会社が実施しているのか、顧客には知る方法がないとスーシー氏は指摘する。
エチオピアでの墜落を受け、中国民用航空局は国内での737MAX8について全便の運航停止を命令。エチオピア航空とケイマン航空も、事故の予防策として同型機の運航停止に踏み切っている。
一方、米国家運輸安全委員会(NTSB)の元トップでCNNの現航空アナリスト、ピーター・ゲルツ氏は、米国当局が同様の措置に動くのは時期尚早との見方を示す。重要事項として俎上(そじょう)に載せておきつつ、今後の捜査の結果2件の事故の原因に関連性が認められた場合に運航を停止するのが妥当だと語った。
FAAは2件の墜落事故の捜査について「まだ始まったばかりであり、現在入手しているデータではいかなる結論も得られず、何らかの措置を講じる段階にもない」とする通知を出している。