真珠湾で戦った米下士官兵、新空母の名前に アフリカ系で初
ワシントン(CNN) 米海軍は20日、新たに建造する空母の名称に、第2次世界大戦を戦ったアフリカ系米国人の下士官兵の名前を使用する意向を表明した。実現すれば、アフリカ系米国人の名前を冠した初めての空母となる。
空母の名称となるのは1941年の真珠湾攻撃で基地の防衛に奮闘したドリス・「ドリー」・ミラー氏。ハワイ州のヒッカム空軍基地での式典で、トーマス・モドリー海軍長官代行が明らかにした。この日は公民権運動家マーティン・ルーサー・キング牧師の記念日にあたる。
海軍の記録によれば、ミラー氏は真珠湾攻撃のさなか、戦艦ウェストバージニアの対空機関砲を操り、「弾丸が底をつき、艦を捨てるよう命令が下るまで」戦った。当該の機関砲を操作する訓練は「受けたことがなかった」が、戦闘で日本軍機1機を撃墜したはずと語っていた。
翌年、ミラー氏は海軍の勲章で最上位の海軍十字章を受けた。アフリカ系米国人にこの勲章が与えられたのは、この時が初めてだった。
モドリー長官代行は「ミラー氏の話には記憶にとどめるだけの価値があり、その内容は今日わが軍が目を光らせるあらゆる地域で繰り返されるべきものである」と強調。さらにミラー氏の名が付く空母について、下士官の名を冠する初めての空母にもなると説明した。
ミラー氏はその後も太平洋戦域で戦ったが、1943年11月に乗艦が日本軍の潜水艦の魚雷攻撃を受け撃沈。消息が途絶えた。1年あまり行方不明者として登録されていたものの、44年11月25日、戦死したとの判断が下された。
ミラー氏には上記の勲章のほかにも名誉負傷章、国防従軍記章などが贈られている。73年にはノックス級フリゲートに同氏の名が付けられたが、同艦は90年代に退役していた。