全米で相次ぐコロンブス像の破壊、先住民虐殺の歴史に矛先
(CNN) 黒人男性ジョージ・フロイドさんの死をきっかけに全米で人種差別批判が強まる中、今度はクリストファー・コロンブスの銅像が各地で相次いで破壊されている。
米国史の中でコロンブスは、先住民に対する扱いや、多大な犠牲を出した暴力的な植民地化への関与をめぐって論議を巻き起こす存在だった。
ここ数年は、コロンブスの米大陸到達を記念した「コロンブス・デー」の祝日をやめて、コロンブスなど欧州の探検家が先住民に与えた苦難をしのぶ「先住民の日」に置き替える自治体も増えている。
CNN系列局のKMSPによると、ミネソタ州議会議事堂では10日、先住民保護団体が組織する集会の参加者が、コロンブス像の首にロープを投げ掛け、地面に引きずり落とした。
バージニア州リッチモンドでは9日、市内の公園に約1000人が集まり、コロンブス像を破壊して公園内の池に投げ込んだ。この集会を前に先住民団体は、「クリストファー・コロンブスは先住民の殺人犯だった。今も続く先住民に対する大量虐殺文化を広めた」とツイートしていた。銅像の残骸は10日に池から撤去された。
池に投げ入れられたコロンブス像=バージニア州リッチモンド/Parker Michels-Boyce/AFP/Getty Images
マサチューセッツ州ボストンでは、ノースエンド地区にあったコロンブス像の頭部が9日夜に破壊されたことを受け、当局が銅像を撤去した。ボストンのウォルシュ市長によると、銅像は当面の間は保管する予定だが、元に戻すかどうかは決まっていない。
この銅像は1979年に設置されたもので、2015年にも赤いペンキが塗られて「黒人の命は大切だ」のフレーズが背中に落書きされていた。