ボルトン氏の回顧録、米政権が出版差し止めを求め提訴
(CNN) ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)が23日に予定している回顧録の出版について、トランプ政権は16日、内容に機密情報が含まれているとして、首都ワシントンの連邦裁判所に差し止めを求める民事訴訟を起こした。
ボルトン氏は回顧録で、補佐官在任中のホワイトハウスの内幕を明かし、トランプ大統領の外交政策を批判している。
政権側は、この中にボルトン氏が同意したはずの守秘義務に違反する情報が含まれているうえ、ホワイトハウスが進めてきた内容の審査を同氏が一方的に打ち切ったと主張している。
回顧録の内容をめぐっては、ホワイトハウスとボルトン氏との間で数カ月前から争いが続いてきた。同氏は昨年末に原稿をホワイトハウスに提出し、国家安全保障会議(NSC)高官から機密情報が含まれているとの指摘を受けた。修正を重ねた結果、4月末に審査完了を言い渡されたが、その数日後には同氏の後任、オブライエン補佐官の指示で、別のNSC高官による審査が再開された。
同高官は今月9日、まだ機密情報が含まれているとの審査結果を発表。これに対してボルトン氏は、承認が得られないままでも予定通り出版に踏み切る意向だと報じられた。書籍はすでに倉庫へ出荷され、21日にABCテレビで放映予定の本人のインタビューも収録済みだ。
出版元のサイモン・アンド・シュスターは16日、この訴訟について、トランプ氏に批判的な書籍の出版をやめさせようとしてきた政権側による試みの一つだと指摘。ボルトン氏の言論の自由を支持するとの立場を示した。
トランプ氏は15日、回顧録がこのまま出版されればボルトン氏は刑法上の問題を抱えることになるとツイートしていた。