米同時多発テロの現場写真に写った男性、新型コロナで死去
(CNN) 2001年に起きた米同時多発テロ事件の報道写真で、ニューヨークの世界貿易センタービル崩壊の現場から逃げる人々の中に写っていた男性が、新型コロナウイルス感染症で亡くなっていたことが分かった。78歳だった。
スティーブン・クーパーさんは3月28日、フロリダ州で死去した。
33年間連れ添ったジャネット・ラッシズさんがCNNに語ったところによると、クーパーさんは同時テロの当日、マンハッタン南部の現場近くへ書類を届けに行っていた。
撮影されたことには気づかず、2週間ほどたってから新聞か雑誌に自分の写真が載っているのを発見。切り抜きを財布に入れ、会ったばかりの相手にも得意げに見せていたという。
写真を撮ったのは、当時AP通信のカメラマンだったスザンヌ・プランケットさん。APから緊急の呼び出しを受けて現場へ駆け付け、13枚の写真を撮ったところで警察から避難を指示された。現場付近から送った数枚の写真が世界中に配信された。
写っている人々の一部とは連絡を取り合ってきたが、クーパーさんと話したことはなかったという。
プランケットさんは、「クーパーさんが写真を誇りに思ってくれていたのは光栄なこと」「あの日のことをぜひ語り合ってみたかった。その後の年月にお互いどうしていたか、一緒に振り返ることができれば、カタルシス(心の浄化作用)を得られたことだろう」と話している。