無料の食料求め車数百台が行列、影響は中流層にも 米
ボイントンビーチの駐車場に並んだ人たちの多くは自分の境遇を語りたがらなかった。午前4時半から並んでいるという夫婦は、近所の高齢者や寝たきりの人、幼い子どもがいる母親に食料を届けたいと語った。
フロリダ州の観光業やサービス業、小売業が大きな打撃を受ける中、他人の善意に頼るしかない人は増え続けている。支援団体幹部のサリ・バツケさんは、同州南部で援助を必要とする人は新型コロナ前に比べて2倍以上に増えていると指摘、「私たちは40年にわたってフードバンクを運営してきたが、こんな状態は見たことがなかった」と振り返る。
同団体は3月から11月にかけ、約6万8000トン以上の食料を地域の住民に提供した。
米議会は新型コロナ対策の食料支援などを盛り込んだ予算案を20日に可決したが、当面の間は、無料の食料を求める需要は高いままの状態が続きそうだ。
「こうなってから9カ月たっても、目の前の光景は変わっていない」とベツケさんは肩を落とした。
ボイントンビーチの駐車場に並んだ車の中にはメルセデスベンツ、キャデラック、インフィニティ、ボルボなどの高級車もあった。食料援助を必要とする人が貧困層だけでなく、中流層にまで広がっている現実を見せつけた形だ。中には初めて食料配布の行列に並んだという人もいた。
車のトランクにリンゴや豆、卵、鶏肉を詰め込んだハイタワーさんは、「誰もがクリスマスに必要なものを受け取れることを祈ります」と語った。