バチカン、中絶胎児由来の細胞株使ったワクチン接種を容認
(CNN) 新型コロナウイルスワクチンの開発、製造段階で人工妊娠中絶された胎児に由来する細胞株が使われているとして、中絶反対派のカトリック教徒らが懸念を示していた問題で、ローマ教皇庁(バチカン)は21日、こうしたワクチンの接種を受けることは倫理上、正当化されるとの見解を示した。
バチカン教理省がフランシスコ教皇の承認を受けた覚書を公布した。
新型ウイルスのワクチンをめぐっては、中絶で採取された胎児の細胞を使っているとして、一部の司教らが接種反対の立場を表明。実際にはこれらの細胞は、数十年前に入手した組織を使って実験室で操作し培養されたもので、中絶胎児から直接つくられたものではないが、カトリック教会内部で意見が分かれ、倫理上の指針を求める声が上がっていた。
米カトリック司教協議会も今月、ワクチンの使用は倫理的に正当化されるとの判断を示していた。
バチカンの覚書は判断の根拠として、危機の緊急性が高いこと、代わりに使えるワクチンの選択肢がないこと、数十年前に行われた中絶と今作られたワクチンの接種を受けることの間に密接な関連性はないことを挙げている。
接種を受けても中絶に加担することにはならないとし、中絶胎児由来の細胞株を使うことが倫理的に是認されたと解釈するべきではないとも明記された。
さらに各国政府や製薬会社、国際機関は道義上、ワクチンが貧困国にも平等に供給されるよう努める義務があるとも強調している。