トランプ米大統領、2期目就任はないと認める 動画で明言
(CNN) トランプ米大統領は7日、大統領として2期目を務めることはないとの見通しを初めて公に語った。バイデン次期大統領への祝福は述べなかったものの、権限の移行を現在進めていることを認めた。
この時点で、大統領選の結果を覆そうというトランプ氏の虚偽に基づく試みは終わりを迎えたようだ。前日には同氏の支持者が首都ワシントンの連邦議会議事堂に乱入して死者が出る事件が起きていた。
トランプ氏はホワイトハウスで事前に撮影した動画の中で、「新たな政権が1月20日に発足する」「現在注力しているのは円滑で秩序だった切れ目のない権限の移行を確実に行うことだ」と述べた。
ホワイトハウスの顧問の1人は複数の高官との会話の中で、トランプ氏が今回の動画を作成した理由について、閣僚の相次ぐ辞任と自身の弾劾(だんがい)の可能性が高まっているためだと説明。動画で語られた内容は選挙日の夜に放送されるべきだったとし、死者が出た後では遅すぎるとの認識を示した。
トランプ氏に対しては、議事堂に乱入した支持者をあおった法的責任を問う声も巻き起こっている。
動画の中でトランプ氏は「癒やしと和解」を求め、米国は前へ進まなくてはならないと訴えた。
トランプ氏はまた、議事堂を襲う同氏支持者を排除するための州兵動員で自身が果たした役割について誤った発言をした。
前日に支持者に暴力をやめるように呼びかけた動画では、トランプ氏は屋外のローズガーデンで撮影。アドリブの発言を混ぜつつ支持者を「とても特別な存在」と呼び、「我々はあなた方を愛している」とも発言した。
だが、7日にプロンプターを使い単調なメッセージを発信するトランプ氏の様子は前日とはまるで違っていた。よりまじめで、屋内で収録されしっかり編集されている様子で、自身の任期が終わりに近づいていると認めつつもほとんど感情を見せなかった。
トランプ氏は「大統領として務めたことは生涯の栄誉だ」「私のすばらしい支持者の皆さんが失望していることはわかっている。だが我々の信じられないほどすばらしい旅は始まったばかりだということを知ってほしい」との言葉を口にした。
トランプ氏は6日夜から7日にかけて上級スタッフの辞任や自身の弾劾、修正25条の適用の検討などの動きに相次ぎ直面。暴動を扇動した役割で法的責任を問われる可能性もあり、こうした要因がトランプ氏の姿勢に著しい変化を生じさせたように見える。
トランプ氏は「議事堂に侵入したデモ参加者は米国の民主主義の中心地を汚した」「暴力と破壊の行為に関わった者は我が国の象徴ではない。法を犯した者はその代償を払う」と前日よりはるかに厳しい言葉で抗議デモを非難した。
だがそれでも、この混乱の扇動における自身の役割には言及せず、また不明瞭であっても大統領選が不正で妨害されたとの主張を続けた。