タルサ黒人虐殺から100年、バイデン氏が事件を追悼 「暴動ではなく虐殺」
(CNN) バイデン米大統領は1日、南部オクラホマ州タルサで起きた黒人虐殺事件から100年となる節目に現地を訪れ、追悼演説を行った。「これは暴動ではなく虐殺だった」と述べ、強い言葉で事件を非難した。
バイデン氏はタルサでの演説で、人種格差是正に向けた政権の新たな取り組みの概要を示すとともに、白人の暴徒によって殺害された黒人数百人を追悼した。暴徒は黒人の住むグリーンウッド地区を襲撃し、数十区画を焼き払った。
バイデン氏は演説で「100年前のこの時間帯、6月1日のタルサの空は煙で黒く染まった。煙は灰燼(かいじん)に帰したグリーンウッドの35区画から立ち上った」と言及。死者や逮捕者についての適切な記録はないと言い添えた。
さらに「24時間足らずの間に、黒人の住宅や企業など1100棟が失われた。黒人の多くは保険に加入していたが、保険会社は損害の請求を認めなかった。1万人が困窮して家を失い、収容キャンプに入れられた」とも語った。
バイデン氏はグリーンウッド地区を壊滅させた虐殺の詳細を振り返り、「文字通り地獄が解き放たれた」と形容。
「これは暴動ではなく虐殺だった。米国史上最悪の規模だが、虐殺はこれだけではない」とした上で、「(タルサの事件は)あまりに長い間、歴史から忘れられていた。事件発生直後から、私たちの集合的な記憶からこれを消し去ろうとする明らかな試みが行われた」と述べた。
そのうえで、2017年にバージニア州シャーロッツビルでの右派の集会で起きた衝突や、今年1月の米議事堂襲撃事件に触れ、白人至上主義を「我が国に対する今最も大きな脅威」と呼んだ。