ファウチ氏、コロナに絡む自身宛てのメールに言及 内容「誤解されている」
(CNN) 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は3日、CNNのインタビューに答え、中国・武漢のウイルス研究所とつながりのある米非営利団体幹部から昨年受け取った電子メールをめぐる報道に言及し、内容が誤解されているとの見解を示した。
さらに同年2月の電子メールの中で感染対策としてのマスク着用の必要性を軽視したことについては、後悔している考えを示唆した。
今週、CNNやバズフィード・ニュース、ワシントン・ポスト紙といった報道機関は、ファウチ氏が昨年初め以降送受信してきた数千通の電子メールを入手した。新型コロナウイルスの感染拡大が起きていた当時、米国での対策を主導する立場の同氏はメディアに頻繁に登場していた。
昨年4月、ファウチ氏に送られた1通の電子メールでは、米国に拠点を置く非営利団体、エコヘルス・アライアンスの幹部が同氏に感謝の言葉を伝えている。同氏が新型コロナウイルスについて、科学的証拠が支持しているのは自然を起源とする見方であり、研究所からの流出ではないと公言したというのが理由だ(ウイルスの起源は依然として明らかでない)。
エコヘルス・アライアンスは、武漢ウイルス研究所での一部の研究に対し、資金援助を行っていた。
3日、CNNの番組の司会者は、ファウチ氏に批判的な人々の声として、電子メールの内容から同氏と武漢の研究所に関係する人物らが極めて近しい間柄にあるのが分かるとの指摘が出ていると述べた。
こうした見解にどう答えるかと問われたファウチ氏は、「ばかげている」「あのメールからどうしたらそのような考えに至るのか、見当もつかない」と答えた。
そのうえで、現在も変わらない認識として、ウイルスの起源は動物から人への感染である公算が最も大きいと確信していると言明。ただ他に起源がある可能性を排除するわけでは全くないとし、研究所からの流出が原因ということもあり得ると付け加えた。
番組内ではこのほか、昨年2月5日にファウチ氏が元保健福祉省長官のシルビア・バーウェル氏に送った電子メールも紹介。この中でファウチ氏は、飛行機での移動を予定しているというバーウェル氏に対し、移動先での感染リスクの低さを理由にマスク着用を推奨しない考えを伝えている。
メールが送られた時点では、まだ新型コロナウイルスに対するパンデミック(世界的大流行)の宣言は出ておらず、米疾病対策センター(CDC)も公共の場でのマスク着用を勧告してはいなかった。
司会者は、その後ウイルスについて多くの知見が得られたことを踏まえ、もし当時に戻れるならバーウェル氏に異なる助言をするかと質問。さらに実際の助言の内容を後悔しているかとも尋ねた。
ファウチ氏はこれに対し、科学的情報というものは日々積み重なっていくのが現実だと強調。そのうえで、無症状の感染者が他者にうつすのを防ぐのにマスクは有効といった知見を過去の時点で得ているなら、助言の内容が変わってくるのは当然だと述べた。