米運輸保安局、トランスジェンダーの少女に脱衣検査を要求 母親が賠償求め提訴
(CNN) 米ノースカロライナ州の女性が、空港でトランスジェンダーである彼女の娘が脱衣を伴う検査を受けるよう要求された出来事をめぐり、米運輸保安局(TSA)とこの件の責任者を提訴した。
23日に提出された訴状によると、キンバリー・アーウェイさんと彼女の15歳の娘であるジャミイ・アーウェイさんは2019年5月、ローリー・ダーラム国際空港を飛び立つ予定だった。だがジャミイさんがTSAのボディースキャナーを通過したところ、この装置が誤って異常ありの反応を示したという。
TSAはウェブサイト上で公開しているトランスジェンダーの乗客向けの案内で、「TSA職員は本人の申し出に基づき性別(男性/女性)を指定するボタンを押します」と説明している。
訴状では「これがボディースキャナーに何が予想されるかを知らせている」と指摘されている。
同サイトには「装置には男性および女性の生体構造を区別して検査するソフトウェアが備わっており、スキャンを実施して、必要ならばさらなる検査が求められる体の部位を指摘します」と記されている。
訴状は、「ジャミイさんが飛行機を利用する際、頻繁に誤った反応に対処しなければならい」と説明。またTSAはこの問題に関して繰り返し「トランスジェンダーの人々から苦情を受けている」とも述べている。
同じく訴状によると、ジャミイさんはボディースキャナーの担当者に自身がトランスジェンダーであり、「別のボタン」を押して再検査してもらうよう頼んだものの、この担当者は拒否して監督者を呼んだという。
名前を明らかにしていない女性の監督者はジャミイさんに対し、付近の個室で脱衣を伴う検査を受ける必要があり、従うまで彼女が検査場を離れることは認められないと話した。訴状は「こうした異常を解消するためにTSAが取るべき手段は、衣服の上から触れるボディーチェックを実施することだ」と指摘している。
監督者は「キンバリーさんにジャミイさんが脱衣を伴う検査を受けさせる」よう指示したが、キンバリーさんは拒否。「監督者は警察官を呼んだ」と訴状では主張されている。
すると警察官はジャミイさんの拘束に力を貸すことを断り、親子はそうして検査場を離れるのを認められたという。結局親子は自動車をレンタルし、約1000キロの道のりを走行して自宅へ帰った。
今回の訴えは、意図的に精神的な苦痛を与え、不当な捜索を禁止する合衆国憲法修正第4条に規定されたジャミイさんの権利を侵害したとして、金額は不明ながらも賠償請求と懲罰を求めている。
その一方、TSAの報道官は係争中の訴訟であることを理由に、今回の件についてのコメントを拒否している。