ロシア軍のウクライナ近くの兵力増強、数週間で3分の2増か
(CNN) ロシア軍が対ウクライナ国境線近くで進める兵力増強の問題で米政府当局者は11日までに、新たに展開している兵員の正確な人数は不明としながらも、その規模はここ数週間で約3分の2倍程度膨らんだとの見方を示した。
CNNの取材に明かした。多数の関係筋は、ロシア西部でのこれらの軍事的な動きは不規則であり、ロシアが軍事演習を実施する季節でもないと指摘した。
米シンクタンク「海軍分析センター」のロシア軍問題の専門家は、集結している一部の地上部隊は所属する中央軍管区本部から3000マイル(約4830キロ)離れた場所に、冬季になって出動する奇異な点に注意を促した。無難な説明が見い出せないとも述べた。
諜報(ちょうほう)に通じる2人の関係者によると、地上部隊にはロシア軍の特殊部隊「スペツナズ」も含まれる。特殊部隊の存在は、心理作戦を含めた非正規戦の遂行能力がかなり高まることを意味する。
米政府当局者らは対ウクライナ国境線近くにいるロシア軍の動向を注視しているが、今後数日間あるいは数週間内に侵攻に踏み切る兆候はないとも分析。戦闘作戦の実施に必要な補給線を確保する動きも把握していない。
これら関係筋は、ロシア軍は今後数カ月内に、早ければ来年1月にも、軍事作戦に着手出来る態勢を準備しているようにも見られるとも推測した。補給線の構築は緊急の通知で可能ともしている。
この中でブリンケン米国務長官は10日、ロシア軍の異例の動向に懸念を示し、ロシアは2014年のウクライナ・クリミア半島への侵攻や併合に似た行動の繰り返しを謀る可能性があるとの危機感を示した。
14年に似た行動を試みる深刻な誤りを犯しかねないことへの危惧を表明。「我々が過去に見たのは、何らかの挑発行為を意図し、計画に移す行動の根拠に仕立てるルールだ」とし、「我々が事態を非常に注意深く見守る理由になっている」と強調した。
ウクライナ国境線近くでのロシア軍の不穏な動きを受け米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が最近訪ロし、プーチン大統領らと会い、懸念も伝えていた。関係者によると、会談相手だったパトルシェフ国家安全保障会議書記はロシア軍兵力の上積みを否定しなかったという。
ロシア大統領府は、国境線から約186マイル離れた演習場に自走砲、戦車や歩兵戦闘車両などが待機する兵力増強をとらえた衛星写真をフェイクニュースなどとして打ち消してもいた。