米空母打撃群、一転して欧州で任務継続 ウクライナ情勢受け
アドリア海の米空母ハリー・S・トルーマン艦上(CNN) 米国防総省は緊迫するウクライナ情勢を受け、米空母ハリー・S・トルーマン率いる打撃群を欧州海域に待機させ続けることをこのほど決めた。
同空母は3日までにアドリア海での北大西洋条約機構(NATO)軍との2週間にわたる合同演習を終了。演習にはノルウェーやトルコの戦闘艦船、ほかのNATO加盟国からの船舶や航空機が加わった。NATOによると、参加人員は数千人規模だった。
冷戦終結後、米空母打撃群がNATOの指揮下に入ったのは初めて。トルーマンの打撃群は護衛任務などの艦船5隻、潜水艦1隻もしくは2隻で構成される。
トルーマンは、FA18型戦闘機を含む計90機の航空機を搭載。同空母は当初、12月半ばに中東へ向かう予定だったが、国防総省は欧州での緊張増大を踏まえ、欧州海域にとどめさせることを決めていた。
同打撃群司令官のカート・レンショー少将はCNNの取材に、欧州内での任務継続は同盟国が米国に頼ることが出来るとのメッセージにつながるとの意義を強調した。
欧州海域に展開するトルーマンからは艦載の戦闘機などが東欧の大半の諸国へ1時間以下で到達可能。域内における米空母の存在感はブルガリア、ルーマニアやポーランドと言ったNATO加盟国にとって安全保障上の追加の担保にもなる。
国境線周辺でロシア軍が兵力を増強するウクライナ情勢に関してバイデン米大統領は軍事介入は否定し、軍事侵攻を強行した場合、経済制裁を打ち出す考えを表明。ただ、欧州内での軍事的な抑止力向上を図る方針も示し、国防総省は2日、NATOの東欧加盟国などへの追加部隊の派遣を承認した。