米軍がアフガンに残した兵器や装備、9千億円相当 国防総省報告書
ワシントン(CNN) 米国防総省は議会に提出した報告書の中で、米軍が昨年8月にアフガニスタンから撤退した際、16年かけて同国政府に移転した軍の装備約70億ドル(約9000億円)相当が、アフガニスタンに残されていたと報告した。
国防総省は、アフガン軍に供与した装備などに関する報告書を議会に提出することが義務付けられている。報告書の日付は2022年3月。CNNはこの報告書の内容を入手した。
アフガニスタンは今、米軍が20年以上かけて撲滅しようとしてきたイスラム主義勢力タリバンの支配下にある。米軍が残した装備を「回収あるいは破壊」するためアフガニスタンに戻る計画はないと国防総省は説明している。
報告書によると、米国は05年~21年8月にかけ、186億ドル相当の装備をアフガニスタン治安部隊(ANDSF)に供与。21年8月30日に米軍が撤退を完了した時点で、このうち71億2000万ドル相当の装備がアフガニスタンに残された。この中には航空機、空対地弾、軍用車両、兵器、通信機器などが含まれる。
アフガニスタンに残された装備の大半は専門的なメンテナンスを必要としており、かつては国防総省の請負業者がそのための支援を行っていた。
報告書では、アフガニスタンにあったヘリコプター「Mi―17」5機が、22年に正式にウクライナに移転されたことも明らかにした。この5機はアフガン政府が陥落した時点でウクライナでメンテナンスが行われており、そのままウクライナに残っていた。
ほかにも米国は、アフガニスタンのために調達しながら供与されなかった「非標準弾」の一部をウクライナに供与している。この中には122ミリ榴弾砲(りゅうだんほう)約3万7000発などが含まれる。