米議事堂襲撃、16日の公聴会での8つのポイント
スター不在の公聴会
16日の公聴会には花形となるべき1人の人物の姿がなかった。ペンス前副大統領その人だ。
委員会はペンス氏をヒーローに位置付けた。同氏がトランプ氏の圧力に屈していたなら、米国の民主主義は混乱状態に陥っていただろうというのがその理由だ。
今年に入り、委員会のベニー・トンプソン委員長はペンス氏自身に証言を求める意向を示唆していた。ただペンス氏が委員会の前、とりわけ公開の場に姿を現すという見通しは、常々控えめに言っても大きな賭けととらえられていた。
16日の公聴会にはペンス氏の元顧問2人が出席。前出のショート氏は非公開の場所でカメラ越しに証言した。これはペンス氏が自身の代わりに側近が当時の状況を共有するのを特に阻止しようとはしていない姿勢の現れと言える。
憲法講義の場と化す一幕も
引退した連邦判事のルッティグ氏の証言は、これまでのものと趣が異なった。長く、とりとめのない内容で、話題は「選挙人集計法」の歴史といった問題にまで及んだ。
同氏のコメントは基本的に、ゴールデンタイムに視聴したい内容とは対極にあった。ただその論点により、イーストマン氏とトランプ氏が推し進めた法律上の計画がいかに根拠のないものだったかが示された。さらにトランプ氏が1月6日以前からそれについて告げられていたことも明らかにした。
これらの論点は委員会にとって絶対不可欠なものだった。委員会は訴訟を通じて、トランプ氏の選挙結果転覆の取り組みを暴力と結びつけようとしている。
危険にさらされる米国民主主義
ジェーコブ氏はトランプ氏の計画について、「我が国の民主主義におけるあらゆるものと正反対のところに位置する」と強調。実現していれば国家をかつてないほどの憲法上の危機へと叩き込んでいただろうと語った。
ルッティグ氏は、トランプ氏が「米国の民主主義に対する明白かつ現在の危険」をもたらしていると指摘。この結論に至ったのは、トランプ氏とその同調者らが今なお2020年の大統領選にまつわる虚偽の発言をしているからだと説明した。彼らが推薦する候補者もこうした虚偽を広めており、撤回する兆しは見られないと述べた。
委員会は法制に関する立案を進めることで旧来の選挙法を明確化する方針を表明。トランプ氏とイーストマン氏が利用しようとした抜け穴をふさいで、権力の移譲を保護するとした。
こうした法案の一部を通過させることには党派を超えた関心が寄せられているが、実際に法律として成立させるのに十分な支持が得られるかどうかはいまだ不透明だ。中間選挙が迫る中、時間は無くなりつつあるかもしれない。