米議事堂襲撃、16日の公聴会での8つのポイント
(CNN) 昨年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院の特別委員会は16日、今月3度目となる公聴会を開催した。今回詳述されたのは、当時のトランプ大統領がどのようにペンス副大統領に圧力をかけて自らの計画に引き入れ、大統領選の結果を覆させようとしたかだ。さらにペンス氏がそれを拒否したことで、どのように自らの命を危険にさらしたかも明らかになった。2021年1月6日に起きた事件の現場では、暴徒らがペンス氏を縛り首にするよう求める声を上げていた。
公聴会に出席した2人の証人は、ペンス氏が選挙結果を覆す権限を有していないことを本人に助言した人物だった。1人はペンス氏の元弁護士のグレッグ・ジェーコブ氏。もう1人は引退した共和党の連邦裁判所判事のJ・マイケル・ルッティグ氏だ。
一方、委員会が調査したところによると、保守派でトランプ氏の弁護士のジョン・イーストマン氏は、ペンス氏が一方的に選挙結果の認証を阻止できるとの法理論を提示していた。この理論はホワイトハウスの弁護士らによって完全に否定されていたが、トランプ氏はこれを採用した。
公聴会の要点を以下にまとめる。
トランプ氏、計画は違法と告げられるも断行
多くの事実が明らかになったが、おそらく最も重要なのは次の点だ。トランプ氏はペンス氏に選挙結果を覆させる1月6日の自身の計画が違法であることを再三告げられていたにもかかわらず、それをとにかく実行に移そうとした。
証人によれば、ペンス氏本人と計画を企てた弁護士はトランプ氏に対し、計画が違憲であり連邦法に違反していると直接伝えていた。委員会のメンバーは、ここにトランプ氏の汚れた思惑が表れていると主張。起訴に持っていくための土台になり得ると指摘する。
16日に再生された動画の中でペンス氏の首席補佐官を務めたマーク・ショート氏が宣誓証言したところによれば、ペンス氏は「何度も」トランプ氏に対し、自分には選挙結果を覆す法律上もしくは憲法上の権限がないと告げていた。ペンス氏が議長を務めた1月6日の議会合同会議では、選挙人投票の集計が行われていた。
計画を考案し、トランプ氏に勧めたイーストマン氏でさえ、トランプ氏の前で計画の履行にはペンス氏が連邦法を破る必要があると認めている。ペンス氏の上級法律顧問のジェーコブ氏が明らかにした。
さまざまな政治的立場をとる法学者らも、イーストマン氏の計画は不合理だとの認識で一致している。
米連邦議会議事堂襲撃事件を巡る今月3度目の公聴会が開かれた/Drew Angerer/Pool/AP
ペンス氏への圧力と議事堂襲撃を結び付ける委員会
委員会は、ペンス氏に圧力をかけるトランプ氏の運動と1月6日の暴力とを結び付けるべく、ペンス氏の側近の証言やトランプ氏の公式声明、議事堂に侵入した暴徒のコメントを合わせて公開した。
最も説得力のある証拠のいくつかは、暴徒ら自身からもたらされた。
彼らの多くは、トランプ氏による集会での(不正確な)主張を聞いていた。つまり選挙は自分に不利になるように操作されており、選挙人投票を認証する立場のペンス氏にはそれについて何らかの行動を取る権限があるという主張だ。議事堂への襲撃が始まった時、彼らはペンス氏を巡るトランプ氏のコメントを口にしていた。
さらに多くの暴徒が、ペンス氏を批判するトランプ氏のツイートをリアルタイムで目にしていた。その中でトランプ氏は、ペンス氏には「勇気がなく、するべきことをしなかった」と述べている。
16日の公聴会でこれを強調する目的は、暴力の責任をトランプ氏に負わせることにある。襲撃事件直後は共和党指導部の多数がそうした結論に同意していた。しかし1年半が過ぎ、多くの共和党議員はトランプ氏を非難するのに尻込みしている。そうした状況を変えたいというのが委員会の狙いだ。
委員会はトランプ政権でホワイトハウスの弁護士を務めていたエリック・ハーシュマン氏の宣誓証言動画を流した。その中で同氏は、イーストマン氏との間で副大統領が選挙結果を覆せるとの主張について言葉を交わしたと説明。もしそんなことを実行すれば「街で暴動が起きる」と警告したハーシュマン氏に対し、イーストマン氏は「過去にも我が国の歴史には暴力が存在してきた。民主主義や共和国を守る目的で」という趣旨の返答をしたという。
また、当時ホワイトハウスの副報道官だったサラ・マシューズ氏は宣誓証言の動画で、トランプ氏のツイートが状況の激化につながったと述べた。
「彼が火に油を注いでいたような感じだった」(マシューズ氏)