暴力の警告、議事堂に向かおうとするトランプ氏 米議会襲撃の公聴会ポイント

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下院特別委員会の公聴会に出席するカシディー・ハチンソン氏/Kevin Lamarque/Reuters

下院特別委員会の公聴会に出席するカシディー・ハチンソン氏/Kevin Lamarque/Reuters

(CNN) 昨年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会の公聴会が28日に急きょ開かれ、ホワイトハウスの元関係者カシディー・ハチンソン氏が証言をした。

マーク・メドウズ大統領首席補佐官の側近だったハチンソン氏はこれまで非公開での証言に4回応じ、調査に積極的に協力してきた。今回の公聴会では、当時のトランプ大統領やその側近が1月6日の暴力発生の可能性について警告を受けていた様子や、議事堂の群衆に加わろうとしたトランプ氏の様子を明らかにした。

委員会は数週間に及ぶ公聴会で、トランプ氏が権力の座にとどまるため反乱を誘発し支持したことや、側近の多くが大統領のスキームを違法と考えていたことを提示しようとしてきた。今回の証言もこれを補強するものとなった。

公聴会のポイントをまとめた。

トランプ氏と首席補佐官は警告を受けていた、集会参加者の武器所持も含めて

トランプ氏自身が暴力の可能性に気づき、民主党候補のバイデン氏勝利を認める両院合同会議の阻止に向けて支持者をたきつけようとした点を証明する上で、ハチンソン氏の証言はボールを前に進めるものになった。

ハチンソン氏によると、トランプ氏は1月6日の朝、自身の集会に参加する支持者の一部から武器が押収されているとの報告を受けていた。その後、ホワイトハウス南側の広場で演説前にスタッフに対して、群衆には自分を傷つける意図はないから、金属探知機を撤去しろと大声で指示したという。

トランプ氏はさらに「彼らが武器を持っているということは全く気にしない」とも発言した。トランプ氏はその後、同じ群衆に議事堂に行進するように呼びかけたため、ハチンソン氏はこの発言に特に衝撃を受けたという。

その後数百人のトランプ氏支持者が議会を襲い、ナイフや熊よけのスプレー、金属棒、テーザー銃、銃などの武器を持つ者が多数いた。

ハチンソン氏が上司のメドウズ氏に、武器が押収されているとの初期の報告を伝えると、メドウズ氏は携帯電話から顔も上げなかったという。事件の2日前には、メドウズ氏がハチンソン氏に「1月6日は事態が本当に悪くなるかもしれない」と伝えていた。

特別委員会のチェイニー副委員長(共和党、ワイオミング州選出)は、「暴力の可能性は暴力が始まる前から認知され、トランプ氏がそれを回避する手段を講じるための余裕は十分あった」と指摘。トランプ氏が支持者に議事堂に向かわないように呼びかけたり、また暴力をもっと早く非難したりすることが可能だったのにそうしなかったのは「別の考えがあったからだ」と述べた。

最後まで議事堂に行きたがったトランプ氏

委員会は証人の証言とホワイトハウスの記録を組み合わせて、トランプ氏が議事堂の支持者に加わろうとし、暴力が広がる直前までそうした姿勢を示していたことを効果的に提示した。

トランプ氏が議事堂に向かいたがっていたことは以前から知られていたが、こうした計画をトランプ氏周辺が事前に知っていたことはハチンソン氏の証言で初めて示された。

トランプ氏の意図の現実性は、国家安全保障関係者にとってリアルタイムで明らかになっていった。トランプ氏が支持者に議事堂に行進するように呼び掛けている間、関係者はシークレットサービス(大統領警護隊)がトランプ氏が議事堂に向かうための方法を探っていることを知った。

これらは同日の国家安全保障会議(NSC)のチャットの記録から明らかになった。この記録が公開されたのは28日の公聴会が初めて。

この記録を見れば、関係者の観点から事態がどのように進んでいったのかがわかる。また、メドウズ氏が自著でトランプ氏が議事堂に行進しようと思ったことはないと記述した部分と矛盾する記録となっている。

1月6日東部時間午後0時29分には「モーグルが議事堂に行こうとしている。彼らは道を開こうとしている」と記述がある。モーグルとはトランプ氏を意味するシークレットサービスのコードネーム。

0時32分には「軍事補佐官は彼が歩いていきたいということを確認した。彼らは彼に再考するように懇願している」、0時47分には「そしてこれは進行中」と記述がある。

ハチンソン氏はトランプ氏周辺の一部が事件当日の数日前から、議事堂に行きたいというトランプ氏の意向を明らかにしていたと語った。トランプ氏の弁護士ルディ・ジュリアーニ氏は1月2日に、「我々は(1月6日に)議事堂に行く」と述べ、トランプ氏自身も議事堂にいる計画を立てていると伝えてきたという。

トランプ氏がハンドルを握ろうとした話を聞いたと証言

ハチンソン氏は、トランプ氏が議事堂行きを阻止したシークレットサービスの部隊に激高し、大統領専用車の前席に行きハンドルを握ろうとしたとの話を聞いたと証言した。

ハチンソン氏は当時の次席補佐官トニー・オルナート氏から聞いた話を語った。それによると、シークレットサービスの隊員ロバート・エンゲル氏が、ホワイトハウス南側の広場で演説を終えホワイトハウスに戻るトランプ氏に対し、議事堂に行くのは安全でないと繰り返し伝えた。するとトランプ氏は「私を今議事堂に連れて行け」などと叫んだという。

さらにトランプ氏はハンドルを握ろうと車両の前席に手を伸ばし、残った手をエンゲル氏に突き出したという。

エンゲル氏とオルナート氏は非公開の場で委員会に証言をしているが、28日の公聴会ではその内容は使われなかった。

この件に詳しいシークレットサービスの関係者はCNNに対し、オルナート氏は、トランプ氏がハンドルを握ったり、シークレットサービスの隊員をつかんだりしたとの話をハチンソン氏に伝えたことはないと否定しているという。

シークレットサービスは28日午後、国土安全保障省の立法部局を通じて委員会に対し、大統領専用車での出来事について関係者に宣誓下で供述させ、その出来事自体が起きていなかったことを証言する用意があると伝えた。

エンゲル氏は以前、委員会で事件当日のトランプ氏とのやり取りを証言し、トランプ氏が議事堂に行く意欲に関しても証言していた。ただこの関係者によると、いさかいや暴力を振るわれたかについての質問は受けなかったという。

委員会の広報担当者は、シークレットサービスが反論の意向を示している点について、「委員会は公に宣誓下で証言しようとする証人が信用できることについて、信頼を置いている。ただ、他の人が持つ情報で調査に役立つ可能性のあるものがあれば、どんな情報でも耳を傾ける用意がある」と述べた。

ハチンソン氏はまた、バー司法長官(当時)がAP通信のインタビューで、大統領選に広範な不正があったとの証拠はないと語った際のトランプ氏の激高ぶりも証言した。

ハチソン氏によれば、「廊下の方から物音がするのを聞いた」という。ダイニングルームで世話係がテーブルクロスを変え、壁からケチャップが滴り落ち、磁器の皿が床で砕け散っている様子を目撃したという。

「大統領は司法長官のインタビューにものすごく怒っていて、自分の昼食を壁に投げつけていた。私はタオルを持って、壁のケチャップをふき始めた」(ハチンソン氏)

ハチンソン氏は委員会から大統領選敗北後のトランプ氏の精神状態を問われる中でそう説明した。

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