ニューヨーク州でポリオ確認、米国で約10年ぶりの症例
(CNN) 米ニューヨーク州ロックランド郡の住民がポリオと診断されたことが分かった。米国でポリオの症例が確認されるのは約10年ぶり。
郡保健当局の21日の発表によると、感染者はワクチン未接種の若者で、約1カ月前から衰弱感やまひを経験するようになったという。
英保健当局は1カ月近く前、ロンドンの下水サンプルからポリオウイルスが検出されたと警告し、ロンドン北部や東部に住む関係の近い人々の間でポリオが一定の広がりを見せていることを示すものだと指摘していた。ただ、この時点でロンドンでは患者は見つかっていなかった。
ポリオはポリオウイルスによって引き起こされる感染症。感染者の約4人に1人はのどの痛みや発熱、倦怠(けんたい)感、吐き気、頭痛、腹痛などインフルエンザのような症状を示す。米疾病対策センター(CDC)によると、200人に1人はより深刻な症状を呈し、足の痛みやしびれ、脳や脊髄(せきずい)の感染、まひなどを経験する。
ポリオの治療法は存在しない。対症療法としては、筋肉を弛緩(しかん)させる薬の投与や、筋肉を刺激するための温熱療法および理学療法などが有効な場合がある。
ニューヨーク州保健当局によると、米国でポリオの診断が下されるのは2013年以来。
州や郡の保健当局者は医療関係者にさらなる症例への警戒を促すとともに、郡の住民にポリオワクチンの接種を呼び掛けている。
ポリオワクチンはCDCの標準的な予防接種スケジュールに組み込まれており、学校に通うためにはワクチン接種が必要になる。接種済みの人にリスクはないとみられている。
ニューヨーク州の症例はセービン2型ポリオウイルスによるものと特定されており、これはウイルスが経口型の弱毒化生ポリオワクチンを投与された人に由来することを示す。当局者によると、今回のウイルスは今でも経口ワクチンが投与されている米国外の地域から来た可能性があるが、本症例の起源については調査中だという。
ポリオの症例はかつて米国や世界中で広く見られた。1952年の流行時には米国で5万8000人が感染し、2万1000人以上がまひを経験、3100人以上が死亡した。ただ、ワクチン接種運動により症例は激減し、米国で最後にポリオ感染症が自然発生したのは79年にさかのぼる。