アルカイダ指導者殺害、バイデン氏のチームが決断に至った内幕
高官の1人によると、バイデン氏は「ブリーフィングに深く関わり、食い入るように情報を聞いていた」。そして「何が分かったのか、どうやってその情報を得たのか詳しい質問」を投げかけたという。
会議の焦点となったのは、情報当局者が作成してホワイトハウスに持ち込んだザワヒリ容疑者の家の縮小模型だ。バイデン氏はこの家の日当たりや建材、作戦への天候の影響についても質問した。
さらに、建物の間取りや攻撃を実施した場合の影響についてチームにさらなる情報を求め、その日の午後は大統領専用山荘の「ギャンプデービッド」に飛んだ。
後に残ったチームはその後数週間、シチュエーションルームで何度も会議を開催した。計画を完成させ、大統領の質問に答え、リスクの最小化に向けあらゆる不慮の事態を考慮に入れるためだった。
これと並行して政権の法律顧問幹部の間では、ザワヒリ容疑者に関する情報を精査し、作戦の法的根拠を確立しようとする取り組みも進められた。
7月25日、新型コロナウイルスに感染したバイデン氏はホワイトハウス居住棟での隔離中、再びチームを集めて最後の会議を開いた。バイデン氏は「細部に至るまで」質問を投げかけ、民間人の犠牲を最小化できる選択肢が他に何かないか尋ねた。
バイデン氏はザワヒリ容疑者の家の間取り(3回の窓の奥の部屋やドアがどこにあるのか)や、攻撃を実施した場合にどのような影響があるかも確認。そしてチーム全員に声をかけ、ひとりひとりの見解を聞いた。
最終的に、バイデン氏はザワヒリ容疑者を排除するために「精密で対象に合わせた空爆」を承認した。
その5日後の現地時間午前6時18分、カブールにある隠れ家のバルコニーに「ヘルファイヤ」ミサイル2発が撃ち込まれた。「目視による確認」と「複数の情報の流れ」に基づき、ザワヒリ容疑者の死亡が確認された。
当局者によると、ザワヒリ容疑者の家族は家の他の区画にいて無傷だったという。
バイデン氏は作戦開始時と完了時に報告を受けた。新型コロナの感染が「リバウンド」したバイデン氏はこの時もホワイトハウスの居住棟で隔離生活を続けていた。