米上院、民主党の医療・気候変動法案を可決
(CNN) 米上院は7日午後、民主党の医療・税制・気候変動対策法案を可決した。バイデン大統領と民主党にとって大きな勝利となる。
採決結果は51対50だった。民主系50人が賛成、共和党50人が反対し、民主党のハリス副大統領も投票して可決した。本法案は民主党内での困難な交渉の末に合意に達したもので、今秋の中間選挙が迫る中で同党は主要な政策目標の達成機会を得た。
民主党が過半数を押さえる下院は12日に本法案を取り上げる予定。下院通過後にバイデン大統領が署名して法案は成立する。
この「インフレ抑制法」は米国史上最大の気候変動関連の投資を行うとともに、医療保険政策で大きな変革を実現するものとなる。メディケア(高齢者および障害者向け公的医療保険)に一部の処方薬の価格交渉権を初めて付与し、また期限切れを迎える医療保険関連の補助金を延長する。税制面では大企業への15%の最低法人税率導入や自社株買いへの1%の課税など新たな税金を導入し、内国歳入庁(IRS)の徴税能力も強化する。
これにより今後10年間で7000億ドル(約94兆円)の歳入強化を図る一方、二酸化炭素の排出削減や、医療保険制度改革法(オバマケア)における医療保険の補助金延長のために4300億ドルを投じる。残余部分は財政赤字の削減に充てる。
上院民主党は本法案の通過で団結し、フィリバスター(議事妨害)を回避して共和党の賛成票なしで可決できる手続きを用いた。
ウェストバージニア州選出の民主党ジョー・マンチン議員はCNNに対し、自身が起草を支援した同法案について「いいバランスだ」と言及。「我々全員、そして国がそこから利益を得られると思う」「我々は求めていたエネルギー安全保障を確保する。将来のエネルギーに投資できる」と述べた。
バイデン氏も上院の法案可決を称賛し、民主党議員に感謝を伝えるとともに、同法案に含まれる気候変動関連の投資や医療関連条項の意義を強調した。