ウクライナ軍を長期支援の検討開始、終戦以降も見据え 米国防総省
(CNN) 米国防総省がウクライナ軍に関する詳細な分析を準備し、同軍をロシアとの軍事衝突の終了以降も含め中長期的に支える方途をまとめていることが15日までにわかった。
同省当局者の3人が明らかにした。まだ初期段階にあるとする作成作業などは米軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長が仕切っている。
中長期的な支援の財源は、ロシアによる今年2月の侵攻開始以降、米国がウクライナに供与してきた数十億ドル規模の軍事援助をあてにしている。
国防総省高官は、今回の作成作業は「ウクライナ軍の将来の姿を見据えている」とし、軍事支援の側面で道理にかない、中長期的に米国がウクライナに取り組んで欲しい課題に関する重要な問題点への回答を見い出すことを狙っているとした。
中長期との位置づけについては、ウクライナ内の軍事衝突が長期化しそうなことを踏まえ戦争が終わった後の少なくとも5年間を念頭に置いているとした。
分析はウクライナ側と協力して進めており、バイデン米大統領が承認すれば将来的に複数年の兵器売却や米国が提供する長期の軍事訓練計画に結実する可能性があるとした。
中長期的な軍事支援の道筋がまとまればウクライナ側に示して評価を求めるとした。ただ、ウクライナ軍のあるべき姿と米側が判断した将来像に関する明確なロードマップ(行程表)の提供になるだろうともした。
米国防総省高官は分析作業は今後1~2カ月でまとまるとの見通しを示した。ただ、ウクライナ側の見解が最終的な骨格にとって最重要との考えも表明。「彼らの戦略や要望は何なのか」を知る必要があると強調。この調整作業は、ウクライナ戦争での戦局の推移や同国軍が得る戦果の度合いをにらみながら今後数カ月間、継続するだろうとも予測した。
その上でこれら作業の初期段階での成果は、ウクライナ側の承認次第としながらも兵器供与や訓練提供の勧告につながる可能性があると指摘。最終的に、長期かつ複数年にわたるウクライナに対する兵器提供の契約を通じて米国と同盟国によるウクライナへの関与が拡大する可能性にも言及した。この種の最初の契約はバイデン大統領が1期目を終える前に実現するかもしれないとした。
一方、米ホワイトハウスは15日までに、ウクライナに対する新たな軍事援助を近く発表する方針を明らかにした。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官が述べた。新規援助の内容についての説明は避けたが、ウクライナ軍が必要とする装備品については同国側と同時進行の形で話し合っていると説明。
米国が過去数週間あるいは過去2カ月の間にウクライナへ引き渡してきた装備が攻勢を仕掛ける上で役に立ち、その有効性を立証したと指摘。ウクライナの防御面でも過去数日間あるいは数週間において非常な効果を示したと述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先に、同国軍の最近の反転攻勢における米の軍事支援の重要性を強調。反撃の計画は数カ月かけて慎重に練ってきたとし、「同盟国、特に米軍の偵察などに関する情報を生かし、西側の兵器を投入した」とも明かしていた。