バイデン氏が一般教書演説、仕事終わっていないと強調
4.国民の共感を得るには
バイデン氏の顧問らは今、米国民の多くがなぜ、バイデン氏は大した成果を上げていないと感じるのかという問題に頭を悩ませている。
実際には、米経済に大きな変革をもたらす歴史的な法案を成立させてきた。ところが世論調査では、大多数の回答がそうはとらえていない。
バイデン氏は演説で、このギャップを埋めようと試みた。消費者に課される過剰な手数料やハイテク企業の規制など、国民の共感が得られそうな具体例を挙げ、「米国民は足元を見られることにうんざりしている」と力説した。
しかし、国民に「生活が楽になるだろう」と言葉をかけるだけでは通用せず、それを実感してもらう必要がある。バイデン氏がこの2年間で成立させた法案の多くはまだ施行段階にあり、目に見える効果は出ていないのが現状だ。
5.中国に焦点
中国の偵察気球が米本土上空を飛行し、共和党がバイデン氏の対応を批判するより前から、対中政策は演説の原稿に盛り込まれていた。中国との競争に言及したメッセージは、気球の件で改めて緊急性を帯びたといえる。
バイデン氏と側近らは中国への対抗措置を、超党派の支持が得られる数少ない分野のひとつと位置付けてきた。昨年は半導体の国内生産を促進する法案の成立という成果もあげた。
同氏に近い情報筋によると、バイデン氏は中国に対して弱腰と批判されることに神経をとがらせながらも、米中関係の安定化を目指しているという。
6.共和党が反応、「新たな世代」に視線
共和党は一般教書演説に対する党の見解を表明する人物に、トランプ前政権でホワイトハウス報道官を務め、現アーカンソー州知事のサラ・サンダース氏を選んだ。
サンダース氏は40歳でバイデン氏の半分の年齢。世代の異なるリーダーとして対照的な人物を選んだのは明らかだ。
バイデン氏と異なり、聴衆や野次もない落ち着いた知事公邸からの演説の中で、サンダース氏は民主党の政策は「狂っている」と批判。「米国を分断する線はもはや右か左かではなく、正常か狂気かだ」と述べ、バイデン政権は米国人が直面する厳しい現実より幻想に興味があるようだと語気を強めた。文化戦争にも言及し、戦争を始めたのは共和党ではなく「党は戦いを望んでいない」と語った。
トランプ政権の報道官としての自身の経歴には触れたものの、トランプ氏とのつながりは強調しなかった。代わりに「今は新たな世代が率いるときだ」と述べ、世代交代に向けたアピールをした。