米本土に飛来の中国気球、「偶然」を排除せず 米情報機関

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サウスカロライナ州沖で行われた気球の回収作業の様子/Petty Officer 1st Class Tyler Thompson/US Navy

サウスカロライナ州沖で行われた気球の回収作業の様子/Petty Officer 1st Class Tyler Thompson/US Navy

ワシントン(CNN) 偵察活動が疑われる中国の気球が米本土上空を通過し米サウスカロライナ州沖の米領空上で今月4日に撃墜された問題で米情報機関当局者は15日、中国政府が意図的に米本土へ誘導しなかった可能性を分析していることを明らかにした。

この諜報(ちょうほう)分析の説明を受けた多数の関係者がCNNに述べた。強風で流されて針路を外れたかどうかも調べているとした。

中国気球の全般的な飛行コースの一部に不可抗力の要素があった可能性に目を向けさせることになった諜報の内容は不明。

米国はこの気球が先月、中国南部の海南島から発射され、太平洋上空を移動していた際には監視を続けた。関係筋によると、しばらく追跡した後、目的地は米領グアム島で、島内にある軍事施設を探るのが狙いとの見方を強めていた。

しかし、気球は予想外の北方へ転じ、米アラスカ州とカナダの上空へ侵入。その後は南進して、米アイダホ州北部を通り、モンタナ州上空へ入り込んでいた。

米政府当局者はこの動きが恣意(しい)的なものなのかの確信を持てず、中国による巧妙な遠隔操作というより、強風が影響した可能性もあると判断したという。

しかし、中国は気球を操作する一定の能力を保持しており、モンタナ州に到達したことを利用し機微に触れる施設上空などに滞空し、諜報収集を試みたともみている。

気球はこの後に東進し、最後にはサウスカロライナ州沖合で撃ち落とされていた。CNNは先に、米情報機関は昨年、世界各地で飛行する中国の気球群の動向を追う方法も開発したと伝えていた。

CNNによる気象モデルの調べでは、当時発生していた気流が中国の気球をアラスカ州方面へ導いたことは十分あり得たことが判明した。

中国気球の米本土への飛来が偶然だったとすれば、米中間で一層高まっている対立関係の緩和にもつながる契機ともなり得る。両国間の外交対立を抜け出せる出口が見いだせる可能性もある。

中国は4日に撃墜された気球について気象観測用であり、米領空の侵犯は西風と限界がある自律的な制御能力の所産であり、意図的なものではないとの立場を表明。

ただ、米国は気球は偵察に用いられたとの主張は変えておらず、気球の動き全てが風向きなどに翻弄(ほんろう)された結果ではないとも説いている。

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