新型コロナの研究所流出説、米情報機関内では少数派の見解 情報筋
(CNN) 新型コロナウイルスは中国の研究所からの流出を起源とする公算がきわめて大きいとする米エネルギー省の確信度の低い判断は、依然として米情報機関内での少数派の見解であることがわかった。情報機関の調査結果に詳しい情報筋3人が、CNNの取材で明らかにした。
新型コロナの起源を巡っては米連邦捜査局(FBI)も、中程度の確信をもって研究所から流出した公算が大きいとの判断を示しているが、情報機関の大多数は現在も新型コロナの自然発生説を信じているか、証拠に乏しいためいずれの判断も下せないという認識だ。
情報筋3人がCNNに明らかにしたところによれば、今回のエネルギー省の判断は中国の武漢にある疾病予防コントロールセンター(CDC)が行った研究に関する情報に一部基づいているという。中国CDCは感染拡大の時期、コロナウイルスの変異株について研究していた。
CNNは以前、中国CDCがコロナウイルスとコウモリの研究を行っていると報じたが、そこでの研究対象の変異株と2020年に世界中に蔓延(まんえん)した新型コロナウイルスの株とがどれほど近い関係にあるのかは不明。
21年に機密指定が解除された米情報コミュニティーの報告書によれば、米情報機関のうち4機関は低確信度ながらも新型コロナは自然界で動物から人に感染した可能性が大きいとの見方を示し、1機関は中確信度で研究所から手違いで流出したとの見方を示した。残る3機関は、追加的な情報がなければどちらとも判断できないとしていた。
この時の報告書から見解を大きく変えたのはエネルギー省の分析のみだったと、情報筋らは指摘する。情報機関はこの数週間で報告書の最新版を議員らに提供しており、そこには新たなエネルギー省の判断も含まれているという。
情報機関の議論に詳しい民主党の関係者らは、エネルギー省の判断の重要性を低いとみている。理由は他のより重要な機関が自分たちの立場を変えていないからで、これらの機関もエネルギー省が判断材料とした情報には目を通しているという。
しかしエネルギー省の判断に詳しい共和党の関係者らは、同省が研究所起源説の支持に回ったことは注目に値すると指摘。その上で、中国は今なお真相のさらなる解明につながる極めて重要な情報を公表していないと改めて強調した。
米下院監視委員会のジェームズ・カマー委員長と新型コロナについて調査する特別委員会を率いるブラッド・ウェンストラップ委員長は27日、国務省とエネルギー省、FBIに要望書を送付し、パンデミック(世界的大流行)とその起源にまつわる現行の調査に関連した文書の提供と証言を求めた。CNNが入手した複数の書簡から明らかになった。
共和党の関係者は、ウェンストラップ氏の運営する特別委員会が最初の公聴会を来月8日に予定していると述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は27日、ホワイトハウスで記者団に対し、政府の中でウイルスの起源についての合意は成立していないと明かした。