米最高裁判事、共和党の億万長者の支援者と旅行 開示義務なしと認識

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米最高裁判所のクラレンス・トーマス判事/Olivier Douliery/AFP/Getty Images

米最高裁判所のクラレンス・トーマス判事/Olivier Douliery/AFP/Getty Images

(CNN) 米最高裁判所のクラレンス・トーマス判事が共和党の億万長者の支援者に費用を持ってもらう形で豪華旅行をしていたとの報道を受け、トーマス氏は7日、これまで開示しなかったのは開示の必要がないと当時助言を受けたためだと説明した。

最高裁広報室を通じてこうした声明が出るのは異例。トーマス氏は、妻で保守系活動家のジニ・トーマス氏や支援者のハーラン・クロウ氏夫妻と共に行った旅行について、「近しい個人的友人から受けた個人的なもてなしの類い」だったと述べた。

この旅行は米ニュースサイトのプロパブリカが6日に報じた。報道によれば、旅行ではクロウ氏のスーパーヨットやプライベートジェット機を利用し、行き先はインドネシアやニュージーランド、カリフォルニア州、テキサス州、ジョージア州など多岐にわたる。クロウ氏や同氏企業の所有する物件への滞在もあったという。

米最高裁判所のクラレンス・トーマス判事/Olivier Douliery/AFP/Getty Images
米最高裁判所のクラレンス・トーマス判事/Olivier Douliery/AFP/Getty Images

トーマス氏は、個人的供応の報告指針が最近変わったとも言及し、「もちろん今後はこの指針に従う」と述べた。

これに対し議会民主党からは本件の調査や判事に対する倫理規範強化を求める声が上がった。シェルドン・ホワイトハウス上院議員は、クロウ氏が最高裁と絡む仕事をしていないとのトーマス氏の発言を問題視し、「もしレオナード・レオ氏など保守系のフィクサーとたばこを吸うなら、彼らが裁判所の前で仕事をしているだけでなく、仕事そのものが裁判所だと知っておくべきだ」とツイートした。

プロパブリカはクロウ氏の企業が所有するニューヨークの物件に飾られていた写真を報道。そこにはトーマス氏がクロウ氏、レオ氏を含む共和党有力者と写っていた。レオ氏は保守系法律家の団体「フェデラリスト協会」の元トップで、トランプ前政権の連邦裁判所改革で重要な役割を担っていた。

この報道によれば、一部の旅行には主要企業や保守系シンクタンクAEIの幹部も参加。AEI所属の学者は最高裁で意見書を提出する機会がある。

報道を受け、複数の連邦判事が匿名を条件にCNNの取材に応じた。通常、判事が裁判所内部の話に対する見解を外部の者に話すことはまれ。

共和党政権で任命され既に引退している判事は「激しい怒り」を覚えると述べ、「これこそが最高裁に対する世間の尊敬をおとしめる原因だ。単なる倫理違反をはるかに越える。最高裁の正統性への受け止めに関する問題となる」との見解を示した。

一方、共和党政権に任命された別の判事は何が「個人的供応」にあたるのか不明確だったと述べ、トーマス氏の説明に理解を示した。米裁判所事務局が規則を明確化する作業をこの数カ月で進め、先月14日から施行されているという。

別の判事も自身の経験談として、必要以上の情報を提供していると言われたことが2度あると明かし、「裁判所事務局は一貫性を気にしていて、報告が同じように見えることを重視している」と語った。

司法と結びつきの強い政府の情報筋は、今回の件がある論争に再び火をつけるとの見方を示した。それは、最高裁判所の判事に適用される行動規範が存在しないことに対する論争だ。下級裁判所の判事には順守が義務付けられている行動規範がある。

ロバーツ最高裁長官は2011年の報告書で、司法会議の示す裁判官行動規範が最高裁にも適用されるべきだとの意見について、合衆国憲法第3条が作り出した裁判所は唯一最高裁判所だけだと指摘。下級裁は議会に設立権限が与えられているため、二つの機関は異なり、議会が作った司法会議の策定した行動規範を最高裁判所に当てはめることはできないとの論拠を示した。

ロバーツ氏は、最高裁判事が行動規範などを参考にはするものの、採用する理由はないと結論付け、「忌避が正当な場合を決める同僚の能力に完全な信頼を置いている」と述べた。

クロウ氏はCNNとプロパブリカに声明を寄せ、トーマス氏夫妻とは30年以上の友人で、トーマス氏に行ったもてなしは「他の多くの親友へのもてなしと何ら変わりない」と説明した。トーマス氏夫妻から「もてなしを求められたことはない」とし、さらにクロウ氏から係争中の事件や下級裁判所の事件について尋ねたことも、トーマス氏がそれらを論じたこともないと述べた。

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