正看護師約10万人、コロナ禍対応のストレスで離職 米調査
(CNN) 米国看護師評議会(NCSBN)は22日までに、米国内で蔓延(まんえん)した新型コロナウイルスの治療業務などでストレスを感じ、職場を去った正看護師は約10万人に達したとの調査結果を公表した。
10年以上の業務経験を持ち平均年齢が57歳の正看護師の61万388人が2027年までに、新たに勤め先から去ることを計画しているともした。ストレス、疲労困憊(こんぱい)や引退が原因となっている。
また、現場経験が10年あるいはそれ以下で平均年齢が36歳の正看護師の18万9000人も同様の考えを持っているとした。
調査結果によると、米国内の現役の正看護師は昨年時点で520万人余、准看護師や付き添い専門の看護師は97万3788人。今回調査は米国の45州で正看護師2万9472人と准看護師ら2万4000人以上を対象にして得たデータを分析した。
この結果、これら調査対象者の4分の1以上が今後5年内に業界から身を引いたり、引退することを考慮しているとした。
また、約62%がコロナ禍の渦中にあって仕事上の負担が増えたとし、50.8%は精神的に疲れ果てたと感じていると回答。疲労感を覚えたが49.7%、疲労困憊に追い詰められたとしたのが45.1%だった。これらの心境を訴えたのは業務経験が10年以下の看護師に多かったという。
今回調査を取りまとめた1人であるNCSBNの看護師職務規定担当の幹部は調査結果への衝撃を告白し、特に若年層の看護師の気持ちの揺れを危惧した。「業界はじきに業務経験が10年以下の看護師に教官役、管理者や指導者の役割を委ねることになる」とし、「医療衛生業界が甚大な規模の危機に直面する事態にもなりかねない」と指摘した。
若年層の看護師がストレスや疲労困憊を理由に職務を離れることは異例の事態との危機感も示した。
米ニューヨーク州では今年1月、看護師7000人余が人員不足や職務に根差す疲労困憊を訴える抗議の街頭行動を起こし、労働条件の改善などを求めた。これを受け同州の看護師協会は2病院と新たな暫定的な労働契約を結び、人手不足が判明した場合の金銭的な補償などを勝ち取っていた。