ドローン攻撃でシリア民間人死亡の情報、米軍が正式調査へ 国防当局者
(CNN) 5月に米軍のドローン(無人機)攻撃でシリアの民間人が死亡したと伝えられた問題で、米軍が「15―6」と呼ばれる正式調査に乗り出すことになった。この件に詳しい国防当局者3人がCNNに明らかにした。
ドローン攻撃は米中央軍が5月3日にシリア北部で実施。直後に中央軍のマイケル・クリラ司令官は、標的とした国際テロ組織アルカイダの幹部を殺害したと確信していると明言した。同地に米軍は駐留しておらず、身元確認に数日はかかると知りながら、中央軍はクリラ司令官の指示を受けてこの作戦の実行をツイッターで伝え、「作戦に関する詳細が明らかになった時点で」さらなる情報を公開するとしていた。
しかしそれから1カ月半たっても、中央軍はこの作戦に関する詳細も、標的とされ人物も明らかにしていない。殺害された人物の身元をめぐって政権内部では見解の食い違いがあり、アルカイダのメンバーだったと今も信じる情報当局者もいるものの、国防総省内部では、殺害された男性はテロとは無関係の農業従事者だったとの見方が強まっている。
家族によれば、死亡したのは10人の子どもをもつ56歳の男性で、羊を放牧していたところを殺害されたという。
中央軍の報道官は、調査手続きが進められているが、現時点で新たに発表すべきことはないと説明した。
中央軍は攻撃の2週間後、民間人が犠牲になったという情報の信憑性(しんぴょうせい)に関する調査に着手した。その1週間前、テロリストではなく民間人が殺害されたとするワシントンポスト紙の報道を受けた対応だった。
国防当局者によると、この調査の結果、さらに踏み込んだ検証を求める15―6調査の開始が勧告され、この作戦に関して未解決の問題があることを認める形となった。