アルツハイマー病の進行を遅らせる初の新薬、米FDAが完全承認
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は6日、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が実証された初の新薬「レカネマブ」を完全承認した。
高齢者の医療保険を管轄するメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は同日、レカネマブの医療保険適用範囲を拡大すると発表した。これで初期のアルツハイマー病と診断された推定100万人が保険適用の対象となる。
FDA医薬品評価研究センターは「アルツハイマー病の患者にとって安全で治療効果があることが、確認試験で証明された」と発表した。
レカネマブはエーザイとバイオジェンが共同開発した新薬で、アルツハイマー病に関連して脳にたまったアミロイド斑が取り除かれるという証拠に基づき、今年1月に迅速承認されていた。しかし保険適用に関するCMSの当初の判断のために、広範には普及していなかった。保険適用前の負担額は年間2万6500ドル(約380万円)に上る。
「この治療薬が手元にありながら、いきなり『あなたにはまだ使えない』とメディケアに言われていた」。50代前半で若年性アルツハイマーと診断されたジョー・モントミニーさん(59)はそう語る。「保険でカバーされることがものすごく重要だ。治療を受けられることは素晴らしいけれど、2万6000ドルを払うゆとりはない」
レカネマブの使用が承認されたのは、軽度の認知機能障害や軽度の認知症状があり、脳のアミロイド斑が確認された初期のアルツハイマー病患者のみ。コロンビア大学の専門家によると、米国で現在アルツハイマー病と診断されている600万人あまりのうち、6分の1程度と推定される。
アルツハイマー病が進行した患者には効果がない可能性があり、安全上のリスクが高まる可能性もあるという。
たとえ効果があったとしても、これは治療薬ではない。18カ月の臨床試験では、認知機能の悪化が27%抑制されることが示された。