女性初の米連邦最高裁判事、サンドラ・オコナーさん死去 93歳
(CNN) 米連邦最高裁は1日午前、女性初の最高裁判事として道を切り開いたサンドラ・オコナーさんが死去したと発表した。93歳だった。
最高裁によると、死因は「認知症の進行に関連する合併症」。
オコナーさんは自身の指名後に最高裁判事を務めた女性判事5人を含め、幾世代もの女性法曹に勇気を与えてきた。後進の女性からは、男性優位の分野で成功を収めたオコナーさんのキャリアに称賛が集まった。時間の経過とともに穏健な保守派として知られるようになり、議論が過熱する社会問題でしばしば判決を左右する「スイングボート」を投じた。
オコナーさんは保守寄りになった最高裁が1992年の人工妊娠中絶判決を覆し、政教分離を弱め、「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」に狙いを定めるのを目の当たりにしてから亡くなった。92年の中絶判決はオコナーさん自身が起草を支援したもので、アファーマティブ・アクションもオコナーさんが関心を寄せた分野の一つだった。
ロバーツ最高裁長官はオコナーさんの死を悼み、「愛国者」「断固独立を守った法の支配の擁護者であり、市民教育の雄弁な提唱者だった」とたたえた。
オコナーさん2018年の書簡で、アルツハイマー病とみられる認知症の初期段階と診断されたことを公表。「認知症を抱えた私の人生の最終章は厳しいものになるかもしれないが、人生で受けた数え切れない恵みへの感謝、深謝の念は何があっても薄れない」とつづっていた。
アリゾナ州の農場で育ったオコナーさんは自助と独立の精神で知られる。これは若い女性として牛に焼き印を付けたり、トラクターの運転やライフルの射撃をこなしたりした経験から培われたものだ。
故ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事は15年、オコナーさんを称賛して「自分が真の『カウガール』であることを幾度となく示した」と評していた。
オコナーさんは06年、アルツハイマー病を患っていた夫を介護するため、最高裁判事を引退。後任には当時のジョージ・W・ブッシュ大統領がサミュエル・アリート判事を指名した。