米、メキシコにつながる鉄道路線を一時閉鎖 急増の不法移民対策
(CNN) 米税関・国境警備局(CBP)はメキシコからの移民らの不法越境などが急増しているとして、国境を接する米テキサス州からメキシコへ通じる国際鉄道路線の2カ所にある鉄橋を一時的に閉鎖する対策をこのほど打ち出した。
鉄橋は同州イーグルパスとエルパソにある。今月18日に始まった一時的な閉鎖措置が続く期間は伝えられていない。CBPは報道発表文で、越境する移民らの審査作業の支援に職員を差し向けるための措置とも述べた。
米国土安全保障省当局者によると、同州デルリオで拘束した移民らは今月17日には約3000人、エルパソでは約1300人に達した。結果的に連邦職員の人員の割り当てに支障が出る事態になったとも述べた。イーグルパスはデルリオの国境警備区域内にある。
バイデン米政権は過去数週間内に、メキシコとの国境線上にある通関手続き地点を閉鎖し、車両や徒歩による入国を禁止した。イーグルパスやアリゾナ州ルークビル、カリフォルニア州サンイシドロの施設が対象だった。
ルークビルを含むアリゾナ州ツーソンの国境警備区域で今月の最初14日間で拘束された移民らは3万7000人以上に拡大した。CBPによると、この急増ぶりは多国籍的な犯罪組織などが広める虚報が背景にあるとも指摘した。
人身売買組織は貨物列車を利用させて移民らをメキシコ内で移動させているとし、この懸念を抱かせる事態の進展に対処するため要員を大きく増やす新たな措置を講じていると主張した。
CNNの取材に応じたCBPのオーエンス局長によると、今年11月に通関手続きの場所で拘束された移民らは約19万2000人で、前月比で2%増を示していた。
一方、鉄道業界の団体「米鉄道協会」は国境越しにメキシコと結ぶ鉄道路線の即時再開をバイデン政権に要求する声明を発表した。経済面で悪影響を及ぼすとし、米消費者への不利益につながるとも強調した。
特に今回の閉鎖はイーグルパスなどを通じて1日24本の運行を続けているユニオン・パシフィックを含む鉄道会社2社に最も直接的な打撃をもたらしていると説明。自動車部品、農産物、組み立てた自動車や化学製品などの物流が停滞していると論じた。