トランプ氏の民事詐欺訴訟、最終弁論のポイントと今後
(CNN) トランプ前米大統領らに対する民事の詐欺訴訟は11日、ニューヨーク州の裁判所で最終弁論が行われた。トランプ氏は選挙演説を法廷に持ち込み、本件訴訟や提訴した州司法長官への批判を展開した。
トランプ氏は被告側最終弁論の終わりに予定にない「独白」を5分間行った。この行為は本訴訟がトランプ氏のビジネスやブランドにとって深刻な脅威であることを物語る。ジェームズ司法長官はトランプ氏に同州での事業実施を禁止することを求めている。
同時に、この行為からはこうした機会を大統領選に有利に利用したいトランプ氏の思惑も透ける。
エンゴロン判事は既にトランプ氏を本件詐欺で有責と認定し、今月末までに最終的な判決を出したい意向だ。
最終日のポイントをまとめた。
トランプ氏は法廷で発言できた
トランプ氏は11日、様々な場所で同じ話をした。カメラに向かっては法廷前で、判事には法廷内で、記者団にはウォール街の自分の建物で話をした。
一番重要なのは法廷内でのスピーチだ。
「これは政治的な魔女狩りだ」「ここで起きているのは私に対する詐欺だ」(トランプ氏)
トランプ氏は最終弁論で発言する予定はなかったが、弁護士が判事に改めて2、3分話をさせてほしいと要請。判事が本訴訟の事実に関する話だけをすると約束できるかと問うと、トランプ氏は「本件は事実の外にまで達していると思う」と答え、その後被告側の机から5分間話続けた。
判事は数分の間話をさせた後、時間がもうなくなりつつあると言い、話を遮った。
司法長官、トランプ氏はだます「意図を持って行動」と主張
原告の司法長官側は最終弁論で、トランプ氏が自身の財務諸表の資産価値を詐欺的に水増しする「意図を持って行動した」と主張。一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」の幹部らが水増しのために関与した行為について、トランプ氏が責任を負うとの認識を示し、「トランプ氏はこうした諸表を点検し、承認する輪に加わっていた」と述べた。
司法長官事務所はトランプ氏が詐欺的な財務諸表を利用して、本来より有利な率で融資や保険のサービスを受けられたとして、3億7000万ドル(約536億円)の支払いを求めている。
トランプ氏の弁護士、訴訟は政治的な攻撃だと主張
トランプ氏の弁護士は最終弁論でトランプ氏と同じ主張を行った。
弁護士は司法長官がトランプ氏に政治的な攻撃を仕掛けていると批判し「本件全体が政治的意図に資する、作られた主張」だと述べた。
「いつもプレスリリースや見せかけの姿勢で、証明するものは何もなかった」とも述べた。
今後のステップ
エンゴロン判事は今月末までに判決を出したい意向だ。ただ、それで決着となるわけではない。
トランプ氏の弁護士は既に、エンゴロン氏が公判の最初に出した、トランプ氏らが継続的で反復する詐欺行為で有責との略式判決を上訴している。
弁護士はまた、公判中から判決が出たら上訴する方針だと明確にしている。本訴訟の内容自体と、本訴訟を扱った判事などの行為を不服として争う方針。
従って、裁判はまだ長く続く可能性がある。トランプ氏がニューヨーク州で事業を実施できるかの行方もまだわからない。