米軍の空爆、イラクに事前通告せず 米政府が前言撤回
(CNN) 米国務省報道官は5日、米軍がイラク国内で2日に行ったイランを後ろ盾とする勢力の施設空爆について、イラクには事前通告していなかったことを明らかにした。この説明は、イラク政府に事前通告していたとするこれまでの説明と食い違っていた。
国務省のパテル副報道官は5日の記者会見で「2日のこの反応に限っていえば、事前通告はなかった。我々は攻撃を行った直後にイラクに通知した」と述べた。
その上で「イラクは、この地域の全ての国と同様に、我が国の兵士の死を受けて反応があることは理解していた」と強調した。
2日の時点で米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官は記者団に対し、「攻撃の前にイラク政府に通知した」と述べていた。しかし5日になってカービー氏はこの説明に誤りがあったことを確認。「混乱を生じさせたとすれば遺憾に思う」としながらも、「イラク政府に対しても公の場でも、我々があの攻撃に反応することは一切秘密にしていなかった」とした。
米軍はヨルダンの米軍拠点がドローンで攻撃され、米兵3人が死亡、数十人が負傷したことに対する報復として、2日にイラクとシリアでイラン・イスラム革命防衛隊などの拠点80カ所以上を空爆していた。
イラクはこの空爆について「結果としてイラクの市民多数が死亡した。イラクの主権に対する甚だしい侵害にあたる」と非難。「イラク政府がそうした行動を繰り返し非難したにもかかわらず、そうした攻撃は緊張状態を一層エスカレートさせ、地域の安全と安定を脅かしている」と指摘した。
イラク政府は米軍をイラクから撤収させるよう求めており、米国とイラクは間もなく米軍のイラク駐留に関する交渉を開始する見通し。