トランプ氏の米大統領選投票用紙からの除外、連邦最高裁は受け入れない構え
(CNN) 今年11月の米大統領選に出馬しているトランプ前大統領を投票用紙から除外するとしたコロラド州最高裁の判断について、連邦最高裁は8日、これを受け入れずにトランプ氏の出馬資格を支持する構えを示した。
2時間以上にわたる口頭弁論の間、ジョン・ロバーツ判事をはじめとする保守派の判事らは、トランプ氏の出馬資格に異議を唱える人々を代表する弁護士に相次ぎ質問を浴びせた。質問を通じ、トランプ氏の側につく方途を探っていたとみられる。
しかしリベラル派の判事からも、トランプ氏に反対する弁護士らに対して厳しい質問が飛んだ。
トランプ氏を大統領選の投票用紙から除外するよう求める訴えは、合衆国憲法修正14条の「反乱者の禁止」を根拠とする。保守派の判事らはこの規定について、大統領経験者に適用することを意図したものなのか、また連邦議会が法律を制定することなしに禁止を施行できるのかについて疑問を呈した。
そもそも裁判所が候補者の名前を投票用紙から除外することが民主的なのかどうかという、より根本的な問いを発する判事もいた。
ロバーツ判事は、もしトランプ氏の名前をコロラド州の投票用紙から除外すれば、他の州でも将来の選挙から候補者を締め出そうとする動きが起こるだろうと予想。そうした事態は修正14条の本来の目的と相いれないように思えるとの見解を示した。
バイデン大統領が任命したケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事も、修正14条には「大統領」の語が含まれていないと指摘。一方で連邦議会議員など他の当局者は具体的に適用対象として挙げられているとし、条文の作成者が大統領には注目していなかったかもしれないという懸念があると示唆した。
エレーナ・ケーガン判事は、一つの州が大統領選の候補者の出馬を禁止する意味に疑問を投げかけた。
「なぜ一つの州が、このような決定を下す能力を持つべきだと言えるのか。自州民のみならず、全国民に関わる決定を」(ケーガン判事)
9人の判事は、2021年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件を巡るトランプ氏の行動についてはほとんど時間を割かなかった。コロラド州などで広がったトランプ氏の大統領選出馬資格に異議を唱える訴えは、この事件を念頭に置いたものだった。