ガザ北部は既に飢餓状態 状況評価は「信用できる」、米高官が初の認識
(CNN) 米国際開発局(USAID)のサマンサ・パワー長官は10日、パレスチナ自治区ガザ北部は既に飢餓に陥っているとの状況判断について、「信用できる」という認識を示した。
米当局者はこれまで、ガザは飢餓の瀬戸際にあると指摘していたが、米高官が公の場で飢餓が既に始まっているという認識を示したのは初めて。
これで米政権に対し、イスラエルに対する軍事支援の制限を求める声が一層強まる可能性がある。米対外援助法では「直接的または間接的に米国の人道支援の輸送や配送を禁止あるいは制限する」いかなる国に対しても、援助を禁止すると規定している。
10日の議会公聴会でホアキン・カストロ下院議員(民主党)はハフポストの報道を根拠として、USAIDが公電で飢餓は既に始まっている可能性が大きいと伝えたと指摘。「ガザの一部、特にガザ北部が既に飢餓に陥っている事態はあり得るのか、可能性が高いのか」とパワー長官に質問した。
これに対してパワー長官は、3月中旬のガザ地区の状況に関する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の評価を引用し、「その評価は信用できると我々は確信している」と述べた。
「つまり飢餓は既に起きていると?」とカストロ議員に質問されると、パワー長官は「そういうことだ」と返答した。
IPCは3月中旬のガザ地区の状況について「最新の証拠から、ガザ地区の北部行政区域は飢餓の瀬戸際にあり、2024年3月中旬から5月の間に起きることが予想される」と指摘。「最も起こり得る筋書きとして、ガザ北部とガザ行政区域の両方が合理的な証拠に基づきIPCフェーズ5(飢餓)に分類され、人口の70%(約21万人)がIPCフェーズ5(大惨事)に分類される」と分析していた。
パワー長官は「ガザ北部では10月7日以前の栄養失調率はほぼゼロだった。今は子ども3人に1人、3人に1人がその状態にある」と述べ、「南部では、この差し迫った危機を回避できるだけの食料が搬入されていない。北部では既に、そうした状況が子どもの死亡を増加させている」と指摘した。